「ACADEMY / PREMIUM」記事
「バストのサイズに左右差」「生理が近づくと胸に痛み」 話しにくい女性のバストと下着選びのお悩み
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2024.04.10
アンダーウェア
コンディショニング
「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」オンラインイベント第2部レポート
「W-ANS ACADEMY」の姉妹サイト「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。3日には、女性アスリートや指導、保護者を対象としたオンラインイベントを開催しました。全3部で現役アスリートや専門家を招き、第1部は「月経とコンディショニング」、第2部は「知っておくべき成長期のカラダと変化」、第3部は「男性指導者と女性アスリートのコミュニケーション」とテーマが設定されました。
今回は第2部のレポートを「W-ANS ACADEMY」でも掲載します。MCに五輪2大会出場の元競泳選手・伊藤華英さん、ゲストに五輪4大会連続出場の元陸上長距離選手・福士加代子さんと日本フェンシング界の未来を担う18歳・飯村彩乃選手、講師にワコール人間科学研究開発センター・主席研究員の坂本晶子さんを迎えて、女性アスリートが知っておくべき成長期の体の変化や、体型変化に伴うアンダーウェアの必要性や選び方についてディスカッションが行われました。
◇ ◇ ◇
女性アスリートの特徴のひとつが、思春期の体の変化。初経を迎えて体が丸みを帯びたり、体重が増えやすくなったりする。それに伴うコンディション管理は選手はもちろん、指導者や保護者も一緒に考えるべき問題だ。今回、登壇した講師の坂本さんは1964年に設立されたワコール人間科学研究開発センターに勤務している。
4歳から69歳まで女性の体にまつわる4万5000件のデータを保有し、商品開発などの研究に生かしている。初経の1年前から胸や尻が女性らしく変化していく傾向があるといい、坂本さんは「小学5年生くらいの高学年は大人っぽい子から少女っぽい子までばらつきが多い年代。『もう○○ちゃんはブラジャーをつけているかな』という話が出るのもこの頃。バストは4年間かけて形や硬さが変化し、初経の時期はその変化に関係が深いと言われています」と説明した。
バストは女性アスリートのパフォーマンスを考える上で大切な要素。ケアの方法として、スポーツブラが選択肢にある。上下動が多い陸上長距離で活躍した福士さんは「私はバストが小さいので揺れるものじゃないと思っていた(笑)。スポーツブラなんて要らないと思っていたけど、した時としない時で差があるんです。一度すると、こんなに小さい胸でも揺れているんだなと気づく。スポーツブラもつけた方が体にも良い」と必要性を実感する。
「プレースタイル的に上下運動が多い。成長するにつれ、スポーツブラをしないとバストの付け根あたりに痛みを感じるようになった」と言うのは、フェンシング選手の飯村選手。スポーツブラなら何でもいいわけではなく、「ホールド力」がポイントという。「私にとっては、スポーツブラの効果を感じないものもある。ホールドがあると『バストが痛いなあ』など、競技で余計なことを考えずに済みます」と同調する。
生理前になると、バストに痛みを感じ始めるという飯村選手は「歩くたびに痛いようになると、生理が来るんだなと実感する。そういう時は締め付けが少ない、緩めのスポーツブラをつけるようにしています」と明かした。トップ選手になれば、アンダーウェアについてもしっかりと考えて選択していることが窺える。
運動時のバストの負担について、坂本さんは「どれくらい揺れないようにすべきか、自分の動きと合わせてブラジャーの強さを選べば、揺れのケアをすることができます」と説明。成長期と大人のバストには違いもあるといい、「成長期に大人用のブラジャーをつけると、ワイヤーが食い込んだり、カップが浮いたりしてフィットしなくなる。成長期のバストは硬く、ブラジャーに合わせていくことができない。しっかりと高い位置にある設計のものが合います」と語った。
この話に、飯村選手は「大人とのバストの違いがあることを初めて知ってびっくり。私(18歳)の年代に合うブラジャーを選ぶことで競技に集中できるんだと思いました」と実感し、福士さんも「私は(バストが)張る時は緩めのものをつけるなどしている。今は選べるものがいっぱいある。上手に使ったらいいと思う」と頷いた。
バストの大きさに左右差がある場合はどうすればいい?
イベントでは、参加者からの質問にも回答。高校生から「自分のジャストサイズのスポーツブラを選んだら揺れが止まりません。通常より小さめのものを選んだ方がいいですか?」との声が寄せられた。坂本さんは「ぴったりのサイズが基本だが、サイズは目安」とした上で「自身の寸法を測ってもらった上で、めんどくさいかもしれないけど、できるなら試着もして、手を上げてみたり動ける範囲で動いてみたりして、快適なものを選ぶのがいいと思います」と回答した。
また、坂本さんには「バストの大きさに左右差があり、下着選びに悩んでいます」という質問も。「バストの左右差はほとんどの人にあります」と説明。「もし、どちらかのバストがうまくフィットしないのであれば、ブラパッドをオススメします。厚みや大きさのバリエーションもかなりあり、ブラパッドの入っているものなら、大きい方を抜く。入っていないなら、小さい方に別売りのブラパッドを入れることで対応できます」とアドバイスした。
一方で、福士さんと飯村選手には「試合には何着程度スポーツブラを持っていきますか?」という質問が寄せられた。飯村選手は「着ていくものも含めて2着です。ハードタイプを着けて揺れを抑えて、試合後に着替えてライトタイプでリラックスさせます」と説明。福士さんは「ウォーミングアップで1枚、本番で1枚、ダウンで1枚の3枚。(合間で)全部、着替えます。特に夏は汗をかいて、ブラジャーから冷えるので」と自分のこだわりを明かした。
1時間に渡った第2部は終了。第3部の「男性指導者と女性アスリートのコミュニケーション」は次回レポートする。
(W-ANS ACADEMY編集部)
Fukushi Kayoko
福士 加代子
陸上競技:長距離/マラソン
1982年3月25日生まれ。青森県出身。五所川原工業高で陸上を始め、卒業後に入社したワコールで頭角を現す。2002年のアジア競技大会では5000メートルで日本人女子初の14分台をマーク。以後、3000メートル、5000メートル、ハーフマラソンの日本記録を塗り替える活躍で「トラックの女王」と呼ばれた。2008年からマラソンに挑戦し、2013年の世界選手権モスクワ大会では女子マラソンで銅メダルを獲得。五輪では2004年アテネ大会から4大会連続出場を果たした。2022年1月30日、大阪ハーフマラソンを最後に引退。現在はワコール女子陸上競技部スパークエンジェルスのアドバイザーとして活躍中。自身が長年愛用していたワコールのコンディショニングウェアブランド「CW-X]のアドバイザリーパートナーも務め、イベントなどを通じてカラダを動かすすべての人たちを一緒に応援している。
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