「INTERVIEW / COLUMN」記事
「生理用品=ナプキン」だった私が高校卒業後にタンポン派になったワケ 練習&試合と日常生活で使い分けも――バレーボール・荒木絵里香さん
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2024.04.25
月経
生理用品特集 元日本代表・荒木絵里香さんインタビュー
――本日は生理用品についてのご経験を伺います。まず、荒木さんが初潮を迎えたのはいつでしたか?
「初潮は小学校5年生の時でした。当時、すでに身長が170センチを超えていたので、初経を迎える少し前から母に『もういつ来てもおかしくないんだよ』と言われていました」
――初潮の前から、お母さまと生理の話をしていたんですね。
「はい。母は保健体育の教員だったんですね。ですから、知識もありましたし、生理の大切さについても、うまく伝えてくれました。私も生理に関する疑問や質問があると、いつも母に聞いていましたね。
初めて生理が来て来た日のことですが、『これからしばらく、いつ次の生理が来るかわからないから、常にこれをバッグの中入れとくんだよ』と、母が生理用パンツとナプキンをセットにした、すごく可愛いポーチをプレゼントしてくれました。そのことがすごく思い出に残っています」
――とても素敵なエピソードですね……!
「ありがとうございます。実は先日、私も10歳になる娘と、『もう、いつ初潮を迎えてもおかしくないから準備だけしておこう!』と、一緒にサニタリーショーツを買いに行ったんです。可愛い柄の!」
――ちなみに荒木さんはナプキン派? タンポン派?
「高校を卒業するまではナプキン派です。というのも、母がタンポンを使わなかったので、タンポンについての情報が入ってこなかったんですね。ですから私のなかではずっと、生理用品=ナプキンでした」
部活中にトイレに行きたくなった時はどうしてた?
――中学からバレーボール部ですが、部活中、生理用品のことで困ったことはありましたか?
「私の小学・中学時代、バレー部のユニホームはまだブルマだったんです。その形状からプレー中もナプキンが気になり、本当に嫌でした。また、私は経血もすごく多かったので、ナプキンがズレて経血がモレてしまったという失敗経験は何度もあります。
練習時間が長いので、トイレに行くタイミングも難しかったですね。しかも、体育館からトイレまですごく遠かった。コートを出て、自分のリュックからナプキンを取ってトイレに行く……という行動に時間がかかるし、トイレも遠いから『早く戻らなきゃ!』といつも慌てていました。慌ててつけるから、余計にズレてしまう」
――チーム競技の学生のなかには、「輪を乱すかもしれない」と、トイレに行きたいと言い出しにくいという選手もいます。荒木さんはどうでしたか?
「昔のこと過ぎて細かいことは覚えていないのですが、半端な気持ちではトイレに行けなかったです(笑)。
幸い、中学も高校も先輩や監督が怖いという理由でトイレに行けない雰囲気ではまったくなかったのですが、やっぱり『自分がいないことで迷惑をかけたくない』という気持ちが強かった。自分が入る練習パートでは穴を開けられない、と考えていたので“抜けてもよいタイミング”を見計らい、行っていましたね」
――学生時代はナプキン派だった、と言いましたが、社会人リーグに進んだ後、タンポン派になった、ということでしょうか?
「そうです。チームの先輩たちがタンポンを使っているのを見て、試してみようと思い、使うようになりました。実際、使ってみたらすごく快適。以降、プレー中はタンポン派です。
でも、最初は体に入れることにすごく抵抗がありましたよ。当時は『(生理の血って)どっから出てんの!?』みたいな感じでしたから(笑)、どこに入れていいかもわからないですし、怖かったです」
――そもそも、なぜ使おうと思ったのでしょう?
「やっぱり、快適にプレーしたいというのが一番です。どう頑張っても、当時のナプキンはズレるし、ヨレるし、モレる。それを気にしながらプレーするのがいやでした。
ただ、プレー中以外はできるだけナプキンで過ごしたい、という感覚が体にあったので、練習や試合、それとモレの心配のある長時間の移動ときはタンポン、その他の時間はナプキン、と使い分けていました」
「あったらいいな」と思う生理用品は「絶対にズレないナプキン」
――長時間移動といえば、海外遠征のときも生理用品を持っていくのが大変そうです。
「そうなんです! 特に日本代表で海外遠征に出ると期間が長いので、タイミングによっては2回、生理がくることもあったんです。やっぱりふだん使い慣れているものを使いたいですし、生理周期と遠征の期間を照らし合わせながら足りなくならないよう、スーツケースに詰めていきましたよ」
――イタリアでプレーしていたときは現地調達ですか?(2008-09年、プロリーグ・セリエAのベルガモへ1シーズンの期限付きで移籍)
「はい、そうです。でも、海外に行って初めて、日本の生理用品はめちゃくちゃ品質が高いなって気づきました。向こうで初めてタンポンを購入したとき、段ボール紙みたいなアプリケーターに包まれているのを見て、『え、ちょっとナニコレ!?』と驚きました(笑)」
――ちなみにアスリートの視点から「あったらいいな」と思う生理用品は何ですか?
「やっぱり絶対にズレないナプキンでしょう! 練習後、グシャグシャだったり、片方に寄っていたりと『なんで、こうなった?』という、とんでもない形になっていましたから。
でも、私はまだ使用したことがありませんが、今は経血を吸収するショーツもあったりと、生理用品の進化がすごいですよね。今後、ナプキンとタンポン以外にもよいもの、合うものがあれば娘にも伝えたいですし、私自身の知識が古くならないよう、ちゃんと情報を得て、試していこうと思っています」
――ありがとうございました!
(W-ANS ACADEMY編集部)
Araki Erika
荒木 絵里香
バレーボール
1984年8月3日生まれ。岡山県出身。小学5年生からバレーボールを始める。成徳学園高(現・下北沢成徳高)では高校全国3冠を達成。卒業後の2003年にVリーグ・東レアローズに入団。1年目に日本代表デビューすると、2008年北京五輪に出場(5位)、2012年ロンドン五輪は主将として女子28年ぶりの銅メダル獲得に貢献。2013年に元ラグビー日本代表の四宮洋平さんと結婚し、出産を経て2014年に復帰した。2016年リオデジャネイロ五輪(5位)に続き、4大会連続出場した2021年東京五輪(予選リーグ敗退)を最後に現役引退。引退後はトヨタ車体クインシーズのチームコーディネーター、バレーボール解説者などを務めながら、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で知見を深め2023年3月に卒業。
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