「COLUMN」記事
1日3食だけでは足りないアスリートのエネルギー おやつとは違う“補食”の摂り方とは
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2026.10.02

特集「補食の摂り方」前編
カラダ作りやパフォーマンスアップに欠かせない食事。毎日、たくさんのエネルギーを消費する運動部員やアスリートは、1日3度の食事だけでは必要なエネルギーや栄養を確保できません。そこで重要なのが『補食』であり、その摂り方について前後編にわたり特集。前編では補食の基礎知識について、公認スポーツ栄養士の日大・松本恵教授に伺いました。
◇ ◇ ◇
中高生、大学生の運動部員を含め、アスリートたちは日々、たくさんのエネルギーを消費しています。そのため、カラダづくりはもちろん、運動時の集中力を維持したり、パフォーマンスをアップするためには「しっかり食べる」ことがとても大切です。
とはいえ、1回で食べられる食事の量には限度があります。そのため、練習量が増えたり、試合期に入ったりすると、カラダに必要なエネルギーや栄養素を1日3度の食事だけではどうしても摂り切れません。そこで、重要になるのが「補食」です。
補食とは一言でいうと、「カラダに必要なエネルギーや栄養を摂るための間食」。練習の前後に摂ることで、パフォーマンスの維持やリカバリーに必要なエネルギーや栄養素を補います。
「おやつと何が違うの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、おやつは「気分転換や楽しみのために摂る間食」。具体的にはスナック菓子やアイス、チョコレート、甘いドリンクなどがこれにあたります。
ちなみに「菓子パン」もおやつの一つ。一人暮らしの学生や社会人アスリートのなかには菓子パンを朝食やランチに主食として食べる人もいますが、実は栄養面から考えると「お菓子と一緒」です。食事の時は食パンなどの食事パン、またはご飯や麺を食べるよう、意識しましょう。
では、補食にはどんなものを選ぶといいのでしょう?
補食は運動の前後に摂るため、消化が良く、素早くエネルギーになる低脂質・高糖質の食品が基本です。代表的なのは、おにぎりやあんぱん。おにぎりは脂質がほとんどなく、ご飯には水分も含まれているため運動前のエネルギー補給にぴったり。具材を鮭やツナなどにすれば、たんぱく質も摂れます。また、パンは一般的に脂質が多いイメージがありますが、あんぱんは脂質が少ないうえ、あんの材料である小豆にはたんぱく質も含まれます。
甘い物が欲しい時も、低脂質・高糖質の補食から上手に選んで。和菓子なら大福やだんご、カステラを、洋菓子ならプリンやフルーツゼリー、グミがおすすめです。購入する際は必ず成分表をチェックして、バターやマーガリンを使用していないもの、なるべく脂質が少ないものを選ぶ習慣をつけるとよいですよ。

【おすすめの基本の補食】
おにぎり、サンドイッチ(ハム、たまご)、肉まん、あんまん、あんぱん、バナナ、シリアルバー、カステラ、ヨーグルト、大福、みたらし団子、プリン、フルーツゼリー、ゼリータイプの栄養補助食品 など
運動後の補食はできるだけ早く摂るのがポイント
さらに補食は、「何を」「いつ」食べるかまで考えると、よりパフォーマンスアップやコンディショニングに効果的です。
練習前はおにぎりやサンドイッチ+果汁100%のジュースなどを組み合わせて、「エネルギー源になる糖質+発汗で失われる水分」を補給。すると体がよく動き、集中力アップにもつながります。
運動後は、あんぱん+牛乳、肉まん+100%野菜ジュースなどを組み合わせて「糖質+たんぱく質+水分」を補給。運動時に失われたエネルギーを補充することで疲労回復を促したり、筋肉の分解を抑えたりすることにもつながります。
さらに運動後の補食は着替えながらでもいいので、できるだけ早いタイミング(30~60分以内)で摂ることも、リカバリーを効率よく進めるコツです。
もう一つ、補食を上手に摂ってほしい理由は、空腹のまま運動したり、運動後、空腹のまま長時間過ごしたりしてほしくないため。空腹の時間が続くと、パフォーマンスが落ちるのはもちろん、筋肉を分解してしまったり、翌日まで疲れを引きずったりする要因になります。
特に学生は学校の授業や塾などもあり、運動を中心に生活を送ることが難しい人が多いと思います。ですから、自身の生活・練習スケジュールに合わせて、何回か補食を摂る習慣を身につけましょう。
例えば、朝練のため早朝に朝食を摂った人は、朝練後に1回目の補食を摂ると、授業中の集中力低下や空腹を抑えられます。逆に「朝の起き抜けは食欲が出ない」という方は、家で補食を摂ってから朝練へ。その後、授業の前に朝食用のお弁当を食べます。
昼食から午後の練習まで時間が空いてしまう場合は、2回目の補食を練習前に。そして練習後にはできるだけ早いタイミングで3回目の補食を摂る……という具合です。
後編では、目的別の補食の選び方についてお伝えします。
教えてくれたのは…

■松本 恵 / Megumi Matsumoto
管理栄養士/公認スポーツ栄養士。日本大学文理学部体育学科教授、博士(農学)。北海道大学大学院農学研究科を修了後、スポーツ栄養の現場サポートに携わるようになる。サウスオーストラリア大学招待研究員を経て2011年より現職。同大学の柔道部、陸上競技部、トライアスロン部、体操部などの選手の栄養サポートを行うほか、オリンピックでは2021年東京大会、2024年パリ大会でサーフィン日本代表をサポート。また、日本ライフセービング協会ハイパフォーマンスチーム専門スタッフ(栄養士)として活動中。
(W-ANS ACADEMY編集部)
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