「COLUMN」記事
暑熱順化で猛暑を乗り切ろう! 5〜6月から始めたい“ゆったり入浴&水分補給”の習慣
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2026.05.30

特集「入浴でボディ・コンディショニング」第1回・暑熱対策編
2026年は千年に一度の「お風呂(026)の年」! W-ANS ACADEMYでは『お風呂教授』こと日本栄養大学特任教授の石川泰弘さんに、入浴でできる様々なコンディショニングについて聞きました。第1回は『暑熱対策』。普段はあまり体を動かさない人、「夏に向けて体を動かしながらシェイプアップしたい……!」という人、必見です。
◇ ◇ ◇
皆さん、“暑熱順化”という言葉をご存じでしょうか?
近年、初夏から記録的な猛暑日が続く日本では、炎天下で過ごすだけで熱中症のリスクが非常に高まっています。暑熱順化とは文字通り、「身体を暑さに慣らす」こと。暑熱順化をすすめることで高温・多湿の環境下でも体温調節がスムーズにできるようになり、熱中症の予防になります。
暑熱順化の目的は、「体温が上がった時に汗をしっかりかける体」を作ることです。本来、人間の体は、体温が上がると発汗により熱を逃がす機能が備わっています。ところが、高温多湿の環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れてしまい、体温調節機能がうまく働かなくなると体内に熱がこもり、熱中症を起こしてしまいます。
特に、「運動習慣がなく、あまり汗をかかない」「1年中、冷暖房のきいた部屋で過ごす時間が多い」という人は要注意。もしかしたら、体が自ら体温を調節する力が衰えているかもしれません。
また、暑熱順化は「いつ始めるか」も非常に重要。というのも、体が暑さに対応する状態になるまでに、2週間かかると言われています。そのため、暑さが本格的になる前の5~6月にはスタートを。初夏になると、普段からしっかり汗をかくスポーツ選手も、暑熱順化のためのトレーニングを行います。体を暑さに慣らすことは、そのぐらい大切なのです。
ポイントはお湯の温度とバスタブに浸かる時間
とはいえ「運動が苦手」「忙しくて体を動かす時間がない」という方も多いと思います。そういう方はぜひ、毎日のお風呂時間を暑熱対策に活用しましょう。
運動にしろ、入浴にしろ、暑熱順化をすすめる際、大切なのが『深部体温』をしっかり上げることです。深部体温とは、脳や臓器など体の内部の温度です。
深部体温が上がると、脳が生命の危機を感じ、「体温を下げなくてはアブナイ!」と反応し、「熱を放散して体を冷やして!」と指令を出します。すると、血液循環を良くしたり、汗をかいて気化熱で放熱したりして体温は一定に保たれているのです。
お風呂に入ると、温かいお湯によって血液の温度は上がります。温まった血液が体中をめぐれば深部体温が上昇します。血液は約1分間で全身を1周すると言われているので、長くお湯に浸かっていれば深部体温は上がるというわけです。
「熱い湯に浸かれば、手っ取り早く深部体温が上がるのでは?」と思う人もいますが、熱い湯温のお風呂には長くは浸かっていられませんよね。
研究によると38℃のお湯でも41℃のお湯でも入浴中に肌の表面温度は5、6分でピークを迎えますが、筋肉の温度が上がるまでには15分かかるという報告があります。つまり「すごく熱いお湯にガマンしてザッと浸かる」だけでは、皮膚の表面が温まるだけ。38〜40℃ぐらいのお湯に15分程度ゆったりバスタブに浸かることで深部体温は上がり、暑熱順化となります。
そして、もう一つ大事なのは入浴前の水分補給。コップ1杯程度の水かスポーツドリンクを必ず飲んでから入りましょう。入浴中は汗をかきます。脱水が多いと体内のミネラルバランスが悪くなってしまいますし、血液循環も悪くなってしまいますよ。
教えてくれたのは…
■石川 泰弘 / Yasuhiro Ishikawa
スポーツ健康科学博士。温泉入浴指導員。06年より㈱バスクリンで入浴剤のPRに従事。21年から日本薬科大学医療ビジネス薬学科の特任教授に、26年4月より日本栄養大学特任教授に着任。生涯学習やスポーツウエルネス、スポーツマーケティングを担当する。入浴の専門家として、国内トップアスリートをサポートするほか、小学生から社会人アスリートに向けコンディショニングとしての入浴方法や睡眠について指導。また、『お風呂教授』としてメディアや講演を通し、入浴と睡眠に関する情報を発信する。
(W-ANS ACADEMY編集部)
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