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乱れた生理周期は海外遠征から…古賀紗理那さん「女性が力を発揮できる環境を」 明かされた現役時代の苦悩
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2024.10.23
月経
都内で開催されたW society主催の「働く女性と健康を考えるトークセッション」に登壇
バレーボール女子日本代表主将を務め、今夏のパリ五輪をもって現役を引退した古賀紗理那さんが15日、都内で開催されたW society主催の「働く女性と健康を考えるトークセッション」に登壇しました。10月19日の「国際生理の日」に合わせてのテーマで、株式会社花王・サニタリー事業部ブランドマネジャーの坂田美穂子さん、オルガノン株式会社の戦略・コーポレートアフェアーズ部門長の高島あさみさんと意見交換。女性アスリート特有の悩みについて、現役時代の経験を交えながら語りました。
古賀さんは今夏出場したパリ五輪をもって現役を引退。熊本信愛女学院高時代、16歳で日本代表に選ばれ、日の丸を背負って長らくプレーしました。夫もパリ五輪代表の西田有志。現在は引っ越しも行い、ゆったりとした時間を過ごしているそうです。
日本代表として海外遠征の経験も豊富ですが、だからこそ女性特有の悩みにも苦しんだと振り返っています。「生理不順が酷くて、高校生まではしっかり周期的に来ていたんですけど、海外遠征が増えて環境、食事の変化で、来ないことが増えた。アスリート時代の不安な部分でした」。自身の身体に変化が生じることも珍しくなかったといいます。
所属チームや日本代表での活動の間は、トレーナーに体調を細かく相談。「生理前は腰が抜けそうになったり、腰の痛みも多かったりしたので、トレーニングの重さを調整してもらった」。日本代表では主将を務めるなど、リーダーとしての役割を任されることも増える中で、古賀さんはチームメートの体調面に自然と気を遣うようになりました。
「一人一人性格が違って、難しいところではありました。素直に聞いてくれる選手と、プライドが邪魔をしてあまり素直に聞き入れられない選手がいて、それはもちろんアスリートであれば当たり前にあること。伝え方、タイミングも変えていました」
素直な選手には練習中から話をし、そうでない選手には聞く耳をもつであろう「切羽詰まったタイミング」にコミュニケーションをとっていたと回顧。「生理痛のひどい選手は立てない。私自身もフォローを気にしていて、とにかく人を観察することを意識していた」。選手間で各々のコンディションを自然と把握し、信頼度を高めていきました。
海外遠征では準備が重要「自分が普段から使っているものの方が」
坂田さん、高島さんとのトークセッションでは、職場における生理への理解度もテーマになりました。
花王では、突然生理がきても安心して働けるよう、働く人の声から始まったナプキンの備品化プロジェクト「職場のロリエ」を始動。46年近く続く生理用品ブランド「ロリエ」を、トイレットペーパー同様に設置する取り組みを進めています。
古賀さんはスポーツ現場に置き換え、「アスリートは突然生理が来たりしますし、控室とトイレの距離がある会場もある。試合中にトイレに行きたくなるケースもあるので、備品の一つとして準備してもらうと助かると感じた」と意見しました。
女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は年間約3.4兆円とも試算されています。“健康問題”による仕事のパフォーマンス・生産性低下に困っている女性も多い一方で、社会・企業には理解が不足している可能性もあり、女性の健康に対する職場のアプローチが求められる時代になりました。
休憩が思ったタイミングで取れず、すぐそこにトイレがあったとしても行けない職場もあります。古賀さんは海外遠征を例に挙げ、「飛行機を降りてからホテルまで3時間かかります、とかも普通にあった。不安でしたし、すごく気にして乗っていた」と理解を示します。
「遠征が1か月半続くと、1度の遠征で2回来ることもあったので」。現地で海外の生理用品を購入する選手もいるそうですが、古賀さんは「自分が普段から使っているものの方が、プレーしている時もちゃんとはまっている感じがあるので」と出国前の準備を欠かしませんでした。
リーグ期間中は毎週末試合があるため、月のどこかで必ず生理とぶつかります。「自然現象。来ることなのでしっかり受け入れる」。ポイントは生理前の調整だと明かします。
「普段は通常練習の後に自主練をしたりするんですけど、全くせずにすぐに帰る。ご飯を食べて、温かいお風呂に浸かって、ストレッチしてすぐ就寝……みたいなことを特に意識してやっていました」。先手、先手で考えたからこそ、高いパフォーマンスを維持できました。
社会全体での体制づくりに期待「女性が100%の力を発揮できる環境作りを」
トークセッションに参加した高島さんは「やっぱり話せる雰囲気があるということが第一歩かなと思いましたし、踏み出してみることによってリアクションがあるというのが話すきっかけにもなる」と取り組みを進めることの重要性について語りました。
そのうえで「正解のことを始めたかどうかは別として、まずはやり始めてみて会社の中で話せるきっかけ、雰囲気が作られるというのは、ぜひやっていきたいところだと感じた」と、より理解ある職場づくりを広げていきたい考えを口にしました。
坂田さんは、古賀さんの現役時代の環境について「オープンに話せる関係は素敵だと思った」と評価。同僚たちで体調を気遣いあうことの大切さを説きました。
「なかなかオープンにしたくない方も多くいらっしゃいますし、その方々の気持ちを大切にしていった方がいいと思う中で、どちらも含めて生理について知っていただくこと、機会をできる限り提供させてもらうことができれば」とも話しました。
オンラインでの質問にも答えるなど、バレーボール選手としての悩みも包み隠さず明かした古賀さん。「私たちは朝起きたときに体温とか、生理なのか生理じゃないのかをスタッフ陣に共有するシステムがあって、いつもやっていた。そういう組織ばかりではないと思うので、女性が働きやすく、100%の力が発揮できるような環境作りをこれからしていく必要があると感じた」と、社会全体での体制づくりに期待を寄せました。
(W-ANS ACADEMY編集部)
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