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妊娠・出産との両立に不可欠な「先読みと逆算」 元日本代表の先輩ママアスリートと考える、女子選手の人生設計

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妊娠・出産との両立に不可欠な「先読みと逆算」 元日本代表の先輩ママアスリートと考える、女子選手の人生設計

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2024.03.29

キャリア

第1回MANセミナーの講師・登壇者・参加者のみなさん【写真:荒川祐史】
第1回MANセミナーの講師・登壇者・参加者のみなさん【写真:荒川祐史】

第1回ママアスリートセミナー、第2部「人生設計プログラム」レポート

 一般社団法人MANが11日、第1回となるママアスリートセミナーを対面とオンラインのハイブリッド形式で開催。2部構成で行われたセミナーには、MANで代表理事を務める元クレー射撃日本代表・中山由起枝さんと、同じく理事を務める元バレーボール日本代表・荒木絵里香さんが登壇し、現役アスリートや指導者など多くのスポーツ関係者が参加しました。第2部のトークテーマは「人生設計プログラム」。競技生活とライフイベントの両立という課題に対し、中山さんと荒木さんの経験を交えながら、アスリート自身の未来への向き合い方を考えました。

 妊娠・出産などのライフイベントと競技生活の両立が、“当たり前の選択肢”としてスポーツ界に浸透することを目指して活動するMAN。11日に開催したセミナーでは、産前産後のトレーニングをテーマにした第1部に続き、第2部では「人生設計」について話が展開され、前半はモデレーターを務めたMAN事務局長の久保陽子さんより、セミナー参加者へ配布された「人生設計シート」の説明が行われました。

「人生設計シート」とは、自分の未来像を描くために記入するもので、「スポーツ」「ライフ」「家族」「マネー」「勉強」の5項目について、20年後までの1年ごと、その時に自分がなりたい姿を想像して書き込めるようになっています。久保さんは「このシートを書いたからといって、とらわれる必要はない」と前置きをしつつ、妊娠・出産ができる年齢に限りがある女性だからこそ、未来に起こりうる変化に対するシミュレーションをしておく大切さを伝えました。

参加者の質問に答える中山由起枝さん(左)と荒木絵里香さん(右)【写真:荒川祐史】
参加者の質問に答える中山由起枝さん(左)と荒木絵里香さん(右)【写真:荒川祐史】

 後半は、会場に投影された中山さんと荒木さんの人生設計シートを見ながら、2人に対する質問コーナーが設けられました。

 モデレーターの久保さんから出産時について問われた中山さんは、22歳で出産を経験し、「出産後に復帰するイメージはしていなかった」と振り返った一方、荒木さんは「長く競技をしたかったので、今産めばまだまだやれる」と思い29歳で出産に至った背景を説明。全く境遇の異なる2人は、競技生活とライフイベントを両立する上で大変だったことや、現役中の子供との関わりについてなど様々な質問に対し、それぞれの切り口で経験を語りました。

 また、MAN賛同アスリートで今回はオンライン参加していた元サッカー日本代表の岩清水梓さんは、「チームスポーツがゆえに練習時間が決まっているので、子供の幼稚園の行事などが見られない。息子の成長を見られないのが、この先どんな後悔になるのか」と、4歳の長男を育てながら現役で競技を続けている現在の悩みを相談。これに対して、中山さんも「運動会や母の日のような代替ができないイベントに参加できないのは、子供以上にショックが大きい」と同意しつつ、「ただ、子供は(見てもらえなかったことを)あまり覚えていない」と先輩ママアスリートとしての経験を伝授。中山さんは他の質問でも「子供は(自分の)背中をしっかりと見てくれていた」と話し、子供へ注いだ愛情は限られた時間でもきちんと伝わっていることを強調しました。

一般社団法人MANの代表理事を務める中山由起枝さん【写真:荒川祐史】
一般社団法人MANの代表理事を務める中山由起枝さん【写真:荒川祐史】

 妊娠や出産と競技の両立を考えているアスリートに対して、「先読みと逆算をして、最低限ではなく最高の準備を常にしていくことが長く競技を続けるコツ」(中山さん)、「1人ではできないことなので、周りのサポートに頼る力が大事」(荒木さん)とメッセージを送った2人。活発な意見交換の場となった第2部は、中山さんの「今後も私たちが情報がなくて苦しんだことをどんどん提供していくことで、一緒に学びを深めていきたい」という宣言をもって締めくくられました。

(W-ANS ACADEMY編集部)

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