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女性アスリートのダイエットの基本【実践編】ケガなくパフォーマンスアップするポイント(1日に必要な糖質量・タンパク質量、減量時のスイーツの選び方etc)

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女性アスリートのダイエットの基本【実践編】ケガなくパフォーマンスアップするポイント(1日に必要な糖質量・タンパク質量、減量時のスイーツの選び方etc)

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2023.09.25

体重管理

食事

【写真:Getty Images】
【写真:Getty Images】

部活生やアスリートが知っておきたいダイエット成功の秘訣

 強度の高いトレーニングを長時間行う部活動生やアスリートは、運動をしていない方以上に食事に気を配らないと「エネルギー不足」と「栄養素不足」に陥る恐れがあります。今回は女性アスリートのダイエット【実践編】。ケガなく、パフォーマンスアップにつなげるための、ダイエット成功のポイントを学んでいきましょう!

◇ ◇ ◇

女性アスリートのダイエット【実践編①】
まずは1日に必要なエネルギー量をチェック!

 ダイエットをする際、必要なエネルギー量を下回ると、筋肉の減少や疲労骨折、月経不順のリスクが高まります。ダイエット(減量)は、やみくもに食事量を減らすだけではうまくいきません。まずは、自分には1日にどのぐらいエネルギー量が必要かを知り、食事量を見直すことからスタートしましょう。

 1日のエネルギー必要量は年齢・性別・活動量によって異なります。まずは、次の表をみてください。

 こちらは日本人女性の1日に必要な「推定エネルギー必要量」の一覧です。運動をする方は自分の年齢と生活活動レベル「3」が交わる数値を参考にすると良いでしょう。

 ただし、エネルギー摂取量や消費量を正確に把握することは専門家でも非常に難しいので、この数値は「だいたいこのぐらいなんだな」という目安として考えて。カロリーばかりにとらわれず、日々の体重や見た目の変化、動いたときの体の感覚に注目しながら、ゆっくりと減量していきましょう。

女性アスリートのダイエット【実践編②】
自分に必要な炭水化物(糖質)・タンパク質・脂質量を計算してみよう

次は三大栄養素、「糖質」「タンパク質」「脂質」がどのくらい必要かを把握します。「糖質」「タンパク質」はそれぞれ計算式を覚えると、1日に何をどのぐらい食べたらよいのかが、大体わかるようになります。「脂質」は、出来るだけ体脂肪を増やさない選び方を覚えましょう。

①1日に最低限必要な糖質量は体重×3g!
糖質は体を動かすエネルギー源。不足すると練習や試合時に体が動かなくなるので、ダイエット時も必要量をしっかり摂ることが大切です。糖質の必要量は運動強度によって異なるため、自分がどれぐらいトレーニングしたかによって量を加減しましょう。

【例】体重55kgの選手が軽い練習を行った日に必要な糖質量

 体重1kgあたりに最低でも3gの糖質が必要なので、1日あたり3g×55kg=165gの糖質が必要。茶碗1杯のご飯(150g)には約50gの糖質が含まれるため、1日に茶碗3杯程度の糖質を摂りましょう。

②タンパク質は減量時ほどしっかり摂ろう

 タンパク質は筋肉・骨・血液などカラダを作る材料。表を見てもわかるように、実は体重維持、増加時よりも減量時のほうが、大事な筋肉が減少しないよう積極的に摂りたい栄養素です。体重1kgあたり1.3~2.4gを目安に計算しましょう。

【例】体重55kgの選手が筋肉量を維持・または増加したい場合の、1日に必要なタンパク質量→1.8g×55g=100gのタンパク質が必要。

③脂質は素材調理方法で効率よくダウン

 アスリートの理想的な食事は「高糖質、高タンパク質、低脂質」。体脂肪を出来るだけ増やさないよう、脂質の少ない素材や調理方法を選ぶのがポイントです。

 例えば、脂質量が多くなりやすい肉や魚などのおかずも、肉の脂身を取り除く、調理油は極力減らすなど、ちょっとした心がけで脂質を簡単に減らせます。また、食品を購入する際、栄養表示の脂質量をみる習慣をつけることも効果的です。

「毎日、スイーツが食べたい!」 いったい、どうすればいい?

女子アスリートのダイエット【実践編③】
減量時のスイーツ(おやつ)の選び方

 甘い「おやつ」を食べたいがために、ついつい食事の量を減らしてしまう……。そんな方も少なくないと思います。しかし、美しく健康的な体作りのためには、「朝・昼・晩の食事」→「補食(栄養のある間食)」→「おやつ」の優先順位で、1日に必要な「エネルギー量」と「栄養素」を不足なく摂ることが重要です。

「毎日、スイーツが食べたい!」という方は、1日に食べる目安量を決めておくと良いでしょう。例えばみたらし団子は1本まで。グミは小さめの袋を1袋まで、という具合です。

 また、選び方ですが、「量もしっかり食べたい」という日は洋菓子よりも脂質が少ない和菓子のほうがカロリーは抑えやすいのでおすすめ。一方、スムージーや野菜果実ミックスジュースなどヘルシーなイメージのスイーツのなかには、実は高糖質&高カロリーの食品や飲み物もあるので気を付けて。

 ほか、おすすめの補食については以下の記事もチェックしてみてください。
https://w-ans-academy.the-ans.jp/women-interview-column/799/

女子アスリートのダイエット【実践編④】
減量は「ゆっくりペース」が◎
1週間で-0.5kg~1kgを目標に!

 食べ物や水分量を極端に減らすと、体重も目に見えて落ちていきます。数値が変化すると「痩せられた!」という達成感も得られ、食べない・飲まないダイエットを続けたくなります。しかし、短期間で減っていく体重の内訳をみると、実は体脂肪ではなく、水分と筋肉がほとんどです。

 余分な体脂肪を落としながら筋肉量を維持するには、時間をかけて減量することが大事です。体脂肪を着実に落とすためには、3~6週間以上かけて減量を行うことが推奨されています。また、1週間に体重の0.5~1%の減量を行うのが理想です。

1週間から数日で体重の5%以上の減量をする……急速減量
1週間に0.5kg~1kgの減量……ゆっくり減量

【例】体重55kgの選手の場合、1週間で-0.3~0.6kg、1か月で-1.2~2.4kgが安全な減量のペース。

1か月-1.2~2.4kgする場合の摂取エネルギー量計算式は…
体脂肪1kgの燃焼に必要なエネルギー量は7200kcal。
7200kcal×1.2~2.4kg=8,640~17,280kcal。
8,640~17,280kcal÷30(約1か月)=288~576kcal/日。
つまり、1日約300~500kcalを、運動と食事で減らすように調整します。

(W-ANS ACADEMY編集部)

Hashimoto Reiko

橋本 玲子

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

株式会社 Food Connection 代表取締役。サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。姉妹サイトであるスポーツ文化・育成&総合ニュースサイト『THE ANSWER』では、食のスペシャリストとしてアスリートをはじめスポーツをする方々に向けた、食と栄養に関する情報発信にも力を入れている。アメリカ栄養士会スポーツ・ヒューマンパフォーマンス栄養(SHPN)並びに、スポーツ栄養を専門とする国際的なプロ集団(PINES)のメンバーとして海外の栄養士との交流も多い。

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