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「運動すると胸って垂れる?」「もめば大きくなるって本当?」 バストにまつわる“あるある”なウワサ話に答えます

「INTERVIEW / COLUMN」記事

  

「運動すると胸って垂れる?」「もめば大きくなるって本当?」 バストにまつわる“あるある”なウワサ話に答えます

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2023.09.22

アンダーウェア

女性の体の専門家のお医者さんに直撃!

「運動すると胸って垂れる?」「小さくても、もめば大きくなるって本当?」……などなど、バストに関する不安や疑問は尽きません。そこで、基本的な知識から「あるある」なウワサ話についてまで、女性の体の専門家であるお医者さんに直撃! 胸の構造を正しく知るだけでも、いろいろな不安やウワサに振り回されなくなりますよ。

 ◇ ◇ ◇

Q.胸って筋肉? 脂肪?
A.乳房は脂肪によって形作られています。

 まずは、自分の胸がどんな風になっているのかを、下のイラストを参照にしながら、学んでいきましょう。

 胸の形を決める乳房は、胸部の大きな筋肉、大胸筋の上にのっています。乳房の内側には母乳を作る乳腺、母乳を乳頭に運ぶ乳管があり、バストトップには、乳輪と乳首から成る乳頭があります。そして、乳腺の周囲を脂肪が包み、皮ふや大胸筋とを橋渡しして、乳腺を支えているのが、クーパーじん帯です。

女性のバストは大胸筋に乳房が乗り、乳房は脂肪やクーパーじん帯、乳腺などの組織で構成されています【デザイン:野口佳大】
女性のバストは大胸筋に乳房が乗り、乳房は脂肪やクーパーじん帯、乳腺などの組織で構成されています【デザイン:野口佳大】

Q.運動の衝撃で胸が垂れるのではと心配です……
A.じん帯への影響は可能性アリ。スポブラでサポートを!

 運動の衝撃が胸の形に影響する可能性はあります。

 乳房を支えている組織に、「クーパーじん帯」があります。じん帯は体のあちこちに存在しますが、衝撃や負荷、あるいは年をとるなど、さまざまな要因により支える機能が低下します。例えばひざのじん帯が伸びる、切れるというケガをよく聞きますよね。そう考えると運動によってクーパーじん帯が伸びたり、損傷したりとダメージを受け、胸の構造が変化する可能性はあります。

 乳房の「揺れ」は、そもそも、「痛い」「動きにくい」という感覚があり、スポーツのパフォーマンスが落ちる要因になると思います。胸の大きさに関わらず、スポーツ用ブラジャーなどで「ちゃんと支える」ことはすごく大事ですよ。

胸にボールが当たるとすごく痛い…原因は?

Q.胸にボールが当たると、すごく痛いときがあります。何が原因か教えてください。
A.成長や生理(月経)の影響が考えられます。

 ちょっとでもボールや手が乳房にあたるだけで、ものすごい痛みを感じる人はいます。主な理由は2つ。一つは胸の成長過程で起こる痛み。これは、乳房が発達することで乳腺や皮膚が張って痛みを感じるケースです。

 もう一つは生理のサイクルの影響です。生理前に乳房痛を感じる方もいますが、生理が終わると自然と痛みもなくなります。どちらも、一般的な体の変化に伴う痛みですので、安心してくださいね。

Q.乳首がすごくかゆくなります。ウエアやブラジャーがこすれるせいでしょうか?
A.人間の生理現象によるもの。ただし、ただれに要注意!

 乳輪には分泌腺(モントゴメリー腺)という、乳頭や乳輪を保護するための皮脂腺が集まっています。皮ふの表面の、ぶつぶつしている部分です。

 分泌腺は乾燥を防いでいるのですが、ホルモンのバランスによってはかゆみが強く出ることがあります。かぶれが生じていなければ自然に収まるので放置しておいても大丈夫です。

 もしも、かぶれが長く続いたり、ただれた状態(びらん)になったりしていたら、それは皮膚のトラブル。早めに皮膚科医に相談しましょう。

Q.豆乳を飲むと胸が大きくなるって本当ですか?
A.いいえ、大きくなりません。

 豆乳を飲むと乳房が大きくなるとウワサされる理由には恐らく、豆乳や大豆製品(納豆、豆腐、味噌など)に含まれる「大豆イソフラボン」にあります。大豆イソフラボンは女性ホルモン『エストロゲン(卵胞ホルモン)』に似た働きをしますが、乳房が大きくなる「魔法の薬」ではありません。

 また、胸の大きさと食事の内容は、直接的には関係ありません。ただし、乳房も体の一部。

 結局はたくさんの栄養素を吸収し、作られています。ですから、乳房が成長する可能性を最大限引き出すためには、まずはバランスのよい食事としっかり睡眠をとることが大事です。逆に豆乳や豆腐だけをピンポイントでたくさん摂るだけでは、肌がボロボロになったり運動時に力が出なかったりとマイナスですよ。

マッサージや筋トレで胸は大きくなるの?

Q.マッサージや筋トレをすると胸が大きくなるって本当?
A.もんでも変わりませんが、筋トレならボリュームアップできます!

「胸をもむと大きくなる」というウワサを見かけますが、大きくなりません。乳房は脂肪でできているので、どんなに刺激しても成長しないからです。

 一方、筋肉やじん帯はトレーニングをすれば発達するので、乳房の土台である大胸筋を鍛えるとバストアップにつながります。筋トレでいうと、腕立て伏せが代表的。乳房そのものは大きくなりませんが大胸筋に厚みが出るとトップバストの位置も高くなり、ボリュームアップしてみえますよ。

Q.胸の大きさに左右差があるのですが異常でしょうか? 合宿でみんなと一緒にお風呂に入るのも恥ずかしいです。
A.世の中、左右差のある人が圧倒的に多いですよ!

 特に成長過程にある人は、左右差が気になるかもしれません。でも、顔に左右差があるように、胸にも左右差がある人はたくさんいるので異常でありません。

 注意してほしいのは、むしろ大きさの差ではなく、「かたさ」の差です。乳房を丁寧に揉んだとき、どちらかの胸の皮ふのすぐ下や深部に、コロコロした明らかな「しこり」を感じたら、「線維腺腫」という病気かもしれません。線維腺腫は良性のしこりですが、すぐに病院の診療を受けてくださいね。

教えてくれたのは……

■西ケ谷順子先生
にしがや・よしこ 医学博士。産婦人科専門医、女性ヘルスケア専門医、婦人科腫瘍専門医。聖マリアンナ医科大学病院、杏林大学病院を経て2022年から東京共済病院婦人科に勤務、現在、婦人科部長を務める。疾患や治療についてわかりやすい説明を心がけている。子どもの頃はサッカーとバレーボール、大学時代から空手道部に所属。でも走るのは苦手。

■竹井淳子先生
たけい・じゅんこ 乳腺外科専門医、臨床遺伝専門医。聖路加国際病院 ブレストセンター・遺伝診療センターにて、乳腺外科副医長を務める。乳がん患者に対し、妊孕性や就労問題、子どもなど家族への伝え方など、治療に限らず、メンタル面のサポートにも力を入れる。学生時代は水泳部に所属。最近はダンスや筋トレをミックスした、トランポリンのプログラムにハマり中。

(W-ANS ACADEMY編集部)

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