Home

「INTERVIEW / COLUMN」記事一覧

五輪金メダリストの普段の食生活 練習や試合前に特に気を付けることは「食べるタイミングと量」――バドミントン・松友美佐紀選手

「INTERVIEW / COLUMN」記事

  

五輪金メダリストの普段の食生活 練習や試合前に特に気を付けることは「食べるタイミングと量」――バドミントン・松友美佐紀選手

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2024.07.12

体重管理

食事

普段の練習や試合前の食生活について語った松友美佐紀選手【写真:松橋晶子】
普段の練習や試合前の食生活について語った松友美佐紀選手【写真:松橋晶子】

練習日のスケジュールと食生活「いい練習を続けるためには、とにかく疲労回復が重要」

 髙橋礼華選手との女子ダブルスで臨んだ2016年リオデジャネイロオリンピックで、日本バドミントン史上初となる金メダルを獲得した松友美佐紀選手。2020年に髙橋選手が引退した後は混合ダブルス種目を軸に置き、現在も日本代表として世界を相手に戦います。長年、トップアスリートとして活躍する松友選手に、ふだんの食生活について伺いました!

 ◇ ◇ ◇

――まずは練習日のスケジュールと食生活について教えてください。

「練習時間は日によって変わりますが、2部練習のときはだいたい午前は9時~12時、午後は2時~5時に合同練習。その後、自主トレで2~3時間は動きます。食事は朝昼晩の3食プラス補食。補食は自主練の前後に、おにぎりを食べることが多いですね。具材は気分次第。たらこ、梅、昆布、鮭……ツナマヨなども食べます!」

食事は朝昼晩の3食プラス補食。補食にはおにぎりを食べることが多いと語る松友選手【写真:松橋晶子】
食事は朝昼晩の3食プラス補食。補食にはおにぎりを食べることが多いと語る松友選手【写真:松橋晶子】

――普段はどんな風に食事を摂っていますか?

「毎日、いい練習やトレーニングを続けるためには、とにかく疲労回復が重要。だから、体を動かして消費したら食べて戻すことをすごく大事にしています。

 私はお米が大好きなので、朝食は基本、ご飯派。朝起きたらすぐ、ご飯に味噌汁、それとその日の気分によって納豆や卵、魚などから、食べたいたんぱく質を摂っています。
 
 あとは、昼食や夕食ではメインのおかずに、肉や魚など『足りないな』『今日、食べていないな』と思ったものを、摂るよう意識するぐらい。それだけでも、バランスが整うような食事を実践できていると思います」

――松友選手といえば、試合の日も練習を怠らないほどの「練習の鬼」という印象にあります。食事ももっと緻密に、ストイックに取り組まれているかと思いました。

「よく言われます(笑)。でも、マメな性格ではないので、栄養素やカロリー計算などを細かく管理するのは苦手なんです。

 とはいえ、好きな物だけを食べ続けたりはしませんし、例えば、ステーキをガッツリ食べたり、ファストフードを食べたりしたら、他の食事で足りないものを補います。

 それに、食事は私にとってのリフレッシュであり、すごく楽しみにしていることの一つ。だからこそ、その日の体が欲しているもの、『食べたい!』と感じるものを食べるようにしています」

海外遠征で日本から必ず持っていくものは?

松友選手が海外遠征で日本から必ず持っていくものとは?【写真:松橋晶子】
松友選手が海外遠征で日本から必ず持っていくものとは?【写真:松橋晶子】

――では、練習や試合前に、特に気を付けていることはありますか?

「満腹でも空腹でも動けなくなるので、食べるタイミングと量は気を付けています。あとは、試合前はさっぱりしたものや、消化がよく、かつ力になりやすいものを自然と選んでいますね」

――甘いものも食べますか?

「食べますよ。甘いものも食事と一緒で、食べたいと思ったら練習や移動の合間にちょっとつまんだり、『美味しそう!』と思ったら買ったりとチョコチョコと食べる感じです。

 私の場合、甘いものやしょっぱいものを食べたいという気持ちが出てくると、食べるまで頭から離れないことが多いんですね(笑)でも、少し食べると治まる。だから、食べたいものを食べたいタイミングで摂るようにしています」

――ちなみに、お気に入りのお菓子を教えてください!

「グミです! 以前、栄養士の方からエネルギー源の糖質と靭帯や腱の材料となるコラーゲンを含むので、スポーツ選手にはおすすめと聞いて、摂るようになりました」

――海外遠征も多いと思いますが、日本から必ず持っていくものはありますか?

「和食が一番好きなので、海外遠征では米と炊飯器を持参。また、ご飯のお供になる和食の副菜などを、常温で保存できるレトルト食品や缶詰で持っていきます。あとは、お湯を入れるだけで食べられるし、持ち運びにも便利なアルファ米も、補食用に欠かせません。

 それと小さい鍋も持っていき、試合前にたらこパスタを作って食べたりもします」

――たらこパスタが好きなんですね(笑)

「はい(笑)。やっぱり試合前は、食べ慣れたものが食べたくなります。昔は海外遠征に行くと、好きな和食を食べるのが難しかったのですが、今はどの国にも日本食のレストランがあります。食べるものがない、と食事に困ることも少なくなりましたね」

体重の増減が気になる人へ「数字に惑わされず、自分の動いたときの感覚を信じて」

――体重管理について伺います。松友選手は過去、体重を気にしてダイエットをしたことはありますか?

「体重計は毎日乗っているので、やっぱり少し増えると気になります。ただ、私の場合、大幅に変動することはないので、ダイエットの経験はありません。

 1日の練習量が多いので、多少、体重が増えても練習後は元の体重に戻りますし、逆に食べないと疲れから回復できず、質の高い練習ができなくなってしまう。体重という『数字』を確認したい気持ちにはなるので、体重計があるとつい乗ってしまうのですが(笑)、だからといって『食事を減らそう!』とは考えません」

体重の増減が気になる人へ松友選手からのアドバイス【写真:松橋晶子】
体重の増減が気になる人へ松友選手からのアドバイス【写真:松橋晶子】

――一般的には体重が気になり、食事量を減らしてしまう学生も少なくありません。

「若い時ほど、『体重が落ちたほうがうれしい』という方は多いですよね。

 ただ、競技を取り組むうえで、自分ができないことができるようになる、強くなるためには、たくさん練習をして、足りないものを身に着ける必要があります。もし、元気がなければ、練習はできませんよね。だから食事はしっかり摂ることがとても大切だと思っているんです」

――最後に、どうしても体重が気になってしまうという皆さんにアドバイスをお願いします。

「一生懸命、競技に取り組み、自分が成長する過程で、当然、体重の増減はあります。でも、それは『太った』『痩せた』という話ではありません。できないことができるようになり、必要な技術を得たと同時に、必要なカラダに成長した。その結果だと思います。

 もしも体重が増えたとしても、それは自分に必要な筋肉などがついただけです。数字に惑わされず、自分の動いたときの感覚を信じて欲しいです」

――ありがとうございました!

■松友 美佐紀 / Misaki Matsutomo

 バドミントン日本代表。1992年2月8日生。徳島県板野郡藍住町出身。5歳でバドミントンを始め、全小、全中、インターハイ全てを制覇。聖ウルスラ学院英智高の1年先輩である髙橋礼華選手との女子ダブルスで2010年より日本代表となり、2014年世界ランク1位に到達。その後女子ダブルス世界ランク1位の連続世界記録も樹立する。2016リオデジャネイロ五輪で日本バドミントン界史上初の金メダルを獲得。それ以外にも、日本バドミントン界史上初の年間MVPを獲得するなど、年間のほとんどの国際大会で優勝を果たしている。現在も日本代表として主戦場を混合ダブルスに移し、世界に挑戦し続けている。

(W-ANS ACADEMY編集部)

SUPPORTERSサポーター