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高校生153人に聞きました 寒すぎて動けない! 部活中の冷え対策、みんなどうしてる!?

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高校生153人に聞きました 寒すぎて動けない! 部活中の冷え対策、みんなどうしてる!?

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2023.12.30

コンディショニング

【写真:荒川祐史】
【写真:荒川祐史】

高校女子部活生にアンケートを実施 気になる結果は?

「手足がかじかむ」「体が冷えすぎて肩がこる」など、多くの女性が悩む「冷え」。屋外や薄着になる運動時は、それこそ寒さが身に沁みますよね。そこで、W-ANS ACADEMYでは153人の高校女子部活生にアンケートを実施。体に感じる「冷え」の影響や、部活中や普段の生活で行っている寒さ対策について聞きました!

◇ ◇ ◇

Q1.体の「冷え」を気にして生活をしていますか?

 まず、ふだんから「冷え」を気にしていると答えたのは約半分。でも、部活動中は約65%の人が、体の冷えが「プレーに影響する」と実感していました。

Q2.「冷え」がプレーに影響したことはありますか?

 影響を感じた部位を訪ねると「全身に感じる」と答えた人がトップ。「全体的に体が固まり、動きが悪くなる」「動きが小さくなって思い切り投げられない」「体が動かなくなりタイムが伸びない」など、パフォーマンスの低下を実感する人もいれば、「ジャンプが重くなり、着地で足を痛めてしまった」「肉離れをした」「腹痛を起こしてしまう」とケガや体調不良につながった人もいました。

 2番目に多かったのは「脚」への影響。脚が冷えることで「思うように前に脚が出ない」と回答する人が目立ちます。特にサッカー部は「トラップミスが多くなる」「ボールが蹴りづらい」など、脚の感覚が鈍くなりミスが多発する、と答える人が続出する結果に。

 3番目は「手」。バレー部、バスケ部、ソフトボール部といった球技の選手からは「ボールをキャッチしづらい」「シュートの確率が下がった」などボールの扱いに苦労する様子が、テニス部からは「グリップがしっかり握れない」など、指先まで影響を感じている様子が伝わってきました。

冷え対策トップ3は? 「手袋」「ウォーミングアップ」と…

Q3.冬の部活中に行っている冷え対策は?(複数回答)

 冷え対策でみんなが行っていることのトップ3は、「上着・防寒着を着る」「ウォーミングアップ」「手袋をする」。いずれも「体を温める効果は確実にあります」と、スキー日本代表トレーナーを務めた、北海道大学の寒川美奈准教授。

「よく、ユニフォームのうえに、分厚い上着を一枚、着る選手を見かけますが、薄いウエアを重ね着するほうが体は温まりやすいです。そして、屋外競技の場合は、いちばん外側に防風(ウィンドストッパー)機能があるアウターを着るのがおすすめです」(寒川准教授)

 注意点は、汗が肌に残ると体が冷えるため、肌に触れるウエアは吸汗速乾素材を着用すること。「運動用の保温・防寒用のアンダーウエアを身に着けておくと、寒さを感じずにウォーミングアップが出来るのでよいでしょう」(寒川准教授)。

 ウォーミングアップは、「寒い日はいつもよりメッチャ走る」「ダッシュの本数を増やす」との回答も。「寒い日はウォーミングアップの強度を上げるのは正解。目安としては最大心拍数(220-年齢)の8割程度の強度を目指すとよいですよ」(寒川准教授)。

 そして手先の冷えは、「手袋」のほか、まめに手をこすり合わせてマッサージをする、グーパーを繰り返すのも効果的、と寒川准教授。「体が止まる待ち時間に、体の末端にある手首や足首を回したりグーパーと握ったり開いたりすると、筋肉の血流がよくなって体は温まります。カイロのように、体の外から温めるのもよいのですが、自分の筋肉を動かした方が運動のパフォーマンスを上げるにはより効果的といわれています」

 また、「冬場はウォーミングアップにダンスを取り入れている」「足踏みをメッチャして、止まっている時間をなくす」といった回答もありました。

Q4.体を冷やさないために普段の生活の中で対策していることは?(複数回答)

 最後は普段から行っている冷え対策について。「家でも常に靴下を履いて足を冷やさない」「寝るときも靴下を履く」「靴下を二重に履く」など、洋服に次いで、靴下で工夫するという回答が目立ちました。

 3番目に多かったのは、「体の中から温まるものを食べる」。食事では「スープ」「味噌汁」「鍋」を飲み物は「ココア」「お茶」「白湯」などを意識して摂っていました。

 なかにはゆず、しょうがといった「あっため素材」をプラスする人も!

「体の深部の体温にまで考えている点が素晴らしい。意識の高さが伺えます」とは寒川准教授。「冬場は寒さで体が渇きを感じにくくなり、脱水の恐れも高くなります。食事のときもスープや味噌汁などから水分を補給することは、スポーツ時のパフォーマンスの低下や脱水を予防する意味でも大事です」

 ほか、「寝るときは服をイン」「お風呂上りにすぐ着込む」「意識的に長ズボンをはく」など出来るだけ肌を外気に触れない工夫をしている人も目立ちました。

 「冷えは万病のもと」という言葉があるように、強い寒さは体調にも影響を及ぼします。ふだんから温かくして、学校生活も部活動も快適に過ごしましょう!

教えてくれたのは…

■寒川 美奈 / Mina Samukawa

 北海道大学准教授、博士(理学療法学)。日本オリンピック委員会医学サポート部門員、全日本スキー連盟情報医科学部トレーナー部会長、国際スポーツ理学療法学会理事、日本スポーツ理学療法学会副理事長。スポーツ理学療法学・運動療法学を専門家として教鞭を執るほか、スポーツ外傷・障害の予防や運動療法の有効性、女性の健康支援を軸に、スポーツ現場や臨床での課題解決に繋がる研究を行う。また、日本選手団トレーナーとして五輪5大会帯同。

(W-ANS ACADEMY編集部)

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