「COLUMN」記事
体重と体脂肪、どっちをみるべき? 体重管理の基本、2つの数字は「1か月単位」で判断を
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2023.07.28

体重は体内の水分量で簡単に変化
体重を測る習慣が身につくと、体調や運動パフォーマンスをアップすることに役立ちます。そこでもっとも大事なのは、毎日の数字の変化に振り回されないこと。「減量するなら、どのぐらいのスパンで体重の変化をみるといい?」「体重と体脂肪、どっちをみるべき?」などなど、誰もが知っておきたい体重管理の基本を、日本体育大学の須永美歌子教授に教えていただきました!
◇ ◇ ◇
体重とは文字通り「体の重さ」です。では「体重」がする増減するときは、体の「何の重さ」が変化していると思いますか? 実は体重の内訳には、重さが「あまり変わらないもの」と「すぐに変わるもの」にざっくり分けられます。
まず、「重さがあまり変わらないもの」は骨、筋肉、脂肪です。骨の重さは身長が伸びなくなると、それほど変わりませんし、筋肉と脂肪は「長い期間をかけて」増えたり減ったりするからです。
そして「重さがすぐに変わるもの」とは水分。飲み物や食事を摂ったり、むくんだりすると体重はすぐに増えますし、逆に、呼吸や汗、尿などで体外に排出されれば減ります。
筋肉や体脂肪を500g増やす、あるいは減らすためには、1~2か月はかかるといわれています。でも、500mlの水分であればあっという間に増減してしまうのです。
つまり、短期間の変化は「痩せた」「太った」という話ではなく、水分量が変わっただけで、筋肉が減ったり、脂肪が増えたりしているわけではありません。ですから、日々の数百グラムの変化に、一喜一憂しないようにしましょう。
体重、体脂肪率、BMI値…指標におすすめなのはどれ?
次は体の状態を記録する場合、「体重」「体脂肪率」「BMI値」と、どの数値を参考にすればよいか、です。
おそらくもっとも多くの方が計測しているのは「体重」でしょう。もちろん、体重だけを記録してもいいのですが、おすすめは「体脂肪率」と合わせて記録する方法です。
実は「体重とBMI値を指標にしている」という人も少なくありません。でも、BMI値は身長と体重のみで簡単に計算できる半面、筋肉や脂肪量まではみえてこない、というデメリットがあります。
つまり、「見た目は細いけれど実は体脂肪が多い」「体重は重くなったが体脂肪が減り筋肉量が増えた」という変化は、体重とBMI値だけでは判断できません。自宅、あるいは部室に体組成計があるならば、是非、「体重」と「体脂肪率」を記録してみてください。
ただし、一つ頭に置いてほしいのは、体脂肪率もあくまで「参考値」である、ということ。
先ほど、体内の水分量は簡単に増減するというお話をしました。実は体組成計は、体内の水分量の影響を受けやすく、水分量が増えたり減ったりすると、体脂肪率も変化します。
ですから、体脂肪率も体重と同じく、毎日の変化に振り回されないことが大事ですよ。
日々変化する「重さ」や「数値」に振り回されないで
さて、私は常日頃から学生に、「体重は体調管理に必要な指標の一つなので、数字に固執しないで」と伝えています。
数字の変化は目で見てわかりやすいため、「頑張っている自分」を認める証だと思いがちです。でも、体脂肪や体重の数値に固執し、体重・体脂肪の変動に一喜一憂するようになると、数値を変えるために食事を制限するようになったり、筋肉や血液の材料となる栄養素が足りなくなったりします。
体重や体温、睡眠時間、生理の日、あるいは練習内容などを記録しておくと、コンディションを「見える化」できます。
すると、過去の体重や体調、練習内容を振り返ることが出来、体調や運動パフォーマンスのアップに役立ちます。例えば、調子が上がらないときは改善の糸口が見つかりますし、減量時の停滞期や、ちょっと食べ過ぎて体が重くなったときも、焦らずに対処できるようになります。
ところが、間違った知識や方法で行うと、逆にパフォーマンス低下する要因に。体重に固執するあまり、極端な食事制限をして体調を崩してしまう人も少なくありません。
女性は生理もあるので、体重や体脂肪率の変化は、1日単位ではなく、1か月単位の長い期間でみていくことをおすすめします。
そして、体重・体脂肪が1か月の間に、どのように増減するのか? 練習内容や食事内容によって、変化の傾向があるかといった視点で、数値の変化をみる癖をつけましょう。
自分たちは、体調や運動パフォーマンスを向上させるために体作りを行っているのであって、体重や体脂肪率を下げるために体重管理をしているわけではありません。そのことを、見失わないでくださいね。
(W-ANS ACADEMY編集部)
Sunaga Mikako
須永 美歌子
日本体育大学教授
日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事、日本トレーニング科学会会長。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)。
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