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インハイ出場校に与えた成長のヒント バレー荒木絵里香さんが直接指導、W-ANS ACADEMY「部活動キャラバン」開催

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インハイ出場校に与えた成長のヒント バレー荒木絵里香さんが直接指導、W-ANS ACADEMY「部活動キャラバン」開催

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2025.07.24

キャリア

バレーボール

参加した高崎女子高校バレーボール部のみなさん【写真:荒川祐史】
参加した高崎女子高校バレーボール部のみなさん【写真:荒川祐史】

全国高校総体に出場する高崎女子高校バレー部を訪問

 スポーツを楽しむすべての女性を応援するメディア「W-ANS ACADEMY」は、競技に全力で取り組む学生を応援するイベント「W-ANS ACADEMY 部活動キャラバン」を7月1日に開催しました。今回は、元バレーボール女子日本代表の荒木絵里香さんが代表理事を務める一般社団法人MANとの共催で、今年度の全国高校総体(インターハイ)出場を決めた、群馬県立高崎女子高校バレー部を訪問。荒木絵里香さんによる直接指導やワークショップを通じて、学生たちにエールを送りました。

 ◇ ◇ ◇

「今日はチームカラーで荒木(絵里香)さんを迎えよう、と選手間で決めました」(キャプテンの加藤瑞規さん・3年)。

 イベント当日、練習着からシューズまで、全身チームカラーの『赤』を身に付けて参加した、高崎女子高校バレー部の選手たち。体育館にゲストアスリートの荒木さんが登場すると、緊張した面持ちも一瞬にして笑顔に。拍手とともにキラキラと輝く瞳で、荒木さんを迎えました。

「インターハイ出場、おめでとうございます。今日は短い時間ですが、皆さんの気づきや励みになったらいいなと思っています。よろしくお願いします!」。荒木さんのその言葉を合図に、第1部の部活動の特別指導がスタート。夏の体育館が一層、熱気に包まれました。

 石原裕基監督と言葉を交わしながら全体の様子をゆったりと見ていた荒木さんはその後、選手一人ひとりに近寄りアドバイス。笑顔で話しかける荒木さんに、選手たちもリラックスした様子で受け答えをしていました。

熱心に指導する荒木さんと真剣に耳を傾ける選手たち【写真:荒川祐史】
熱心に指導する荒木さんと真剣に耳を傾ける選手たち【写真:荒川祐史】

「ブロックの時は親指と人差し指をしっかり伸ばすと、壁が強くなるよ!」「ボールだけ見ないで、相手のセッターとアタッカーを見よう。そうすれば、次のプレーにつながるヒントがたくさん見つかるから」など、次々と細やかに指導する荒木さん。全体指導が始まると選手たちは素早く荒木さんに駆け寄り、一言ももらすまいと真剣な眼差しで聞き入っていました。

「みんな基本はできている。考え方や目線など、今日気づいたことを一つでも頭に入れてプレーすれば、もっとうまくなるし、面白くなるよ」。荒木さんのその言葉で、約1時間の特別指導を終えました。

高校生に伝えた現役時代の経験と人生のヒント

第2部のトークセッションでは荒木さんが自身の経験を語った【写真:荒川祐史】
第2部のトークセッションでは荒木さんが自身の経験を語った【写真:荒川祐史】

 第2部は会場を教室に移し、荒木さんとMANの山本真理さんによるトークセッションからスタート。「自分の将来・人生を考えよう」をテーマに、まずは山本さんが荒木さん自身の人生についてインタビュー。地元・岡山県を離れて、高校から東京の強豪校を選択したエピソードに始まり、現役時代の経験はもちろん、月経・出産、そして引退後の大学院進学などについて語りました。

 トークセッション後、学生たちはMANが提唱する「人生設計プログラム」にチャレンジ。これは自分の「未来年表」を作成し、約20年先までの人生や行動プランを考えるワーク。荒木さん自身の未来年表を参考に、学生たちはそれぞれ年表の作成に取り組みました。

「人生設計シート」を記入する学生たちに声をかける荒木さん【写真:荒川祐史】
「人生設計シート」を記入する学生たちに声をかける荒木さん【写真:荒川祐史】

 第2部の最後は、学生から荒木さんへの質疑応答の時間。「体調不良や怪我の予防に気をつけていたことは?」「高校時代にやっておきたかったことは?」「大会が近づくと力んでしまいます」など、様々な質問が飛び出しました。

「新たな挑戦をする時に心がけていることは?」という質問に対し、「小さな目標を立ててクリアしていくこと」と荒木さん。「高校時代、バレーでなかなか頑張れなかった時期があったんですね。その時、『まずはジャンプ力をつけるためにバスケットのリングをタッチしよう!』という目標を立てて、毎日、練習の合間や練習後に取り組みました。ネットに触るところから始まったけれど、最後はちゃんと届くようになった。例えば、いきなり『全国優勝するぞ!』という目標を持っても、壮大すぎて想像がつきづらいよね。だから、ちょっとずつでも前進できる小さな目標設定をしてほしい。すると、『どうやればできるかな?』と行動が変わるよね」と、人生のヒントを伝えました。

「練習後におすすめの食べ物は?」の質問には「競技生活の後半は、練習後すぐに、オレンジジュースやおにぎりなど疲労回復につながるものを摂っていました」と回答。「でも高校生の時は……シュワシュワする炭酸のドリンクを飲むのが大好きでした(笑)」などと答え、学生たちの笑いを誘いました。

荒木さんの指導を受け「やるべきことがハッキリした」

「すごく有意義な時間でした」と話すキャプテンの加藤さん【写真:荒川祐史】
「すごく有意義な時間でした」と話すキャプテンの加藤さん【写真:荒川祐史】

 最後の挨拶では、「皆さんのキラキラした目に私自身がエネルギーをたくさんいただきました」と荒木さん。「私はいっぱい失敗してきたけれど、失敗したから成長したと思っています。皆さんも、人生シートに書き込んだ目標にどんどんチャレンジして、失敗して、先に進んでほしい。そしてスポーツを通して、皆さんの人生も豊かになっていくことを願っています。

 それから、(インターハイが開催される)岡山県はフルーツも美味しいよ! みんな、大会を楽しんで!!」との言葉で締めくくりました。

「私のポジションは現役時代の荒木さんと同じミドル。直接指導ではブロックの出し方、目の使い方など、なあなあになっていた部分を具体的に教えていただき、練習の方向が見えました」とキャプテンの加藤さん。「今日1日で、これから自分たちが強くなっていかなければいけないなか、やるべきことがハッキリしました。ずっとテレビで観てきた選手、そして世界で戦ってきた荒木さんにご指導いただき、すごく有意義な時間でした」とインターハイに向けて自信を深めた様子でした。

 イベントを振り返り、「総体出場を決めた直後とあって、皆さん、モチベーションがすごく高かった!」とは荒木さん。「今日は大会直前ということで、新たなスキルというより、新たな視点や感覚を伝えられたらいいなと思い、指導させていただきました。練習から始まったことで、終始、選手たちと近い距離感で対話することができてよかったです」。

 イベント終了後には、荒木さんから一人ひとりに、サイン入りステッカーをプレゼント。最後まで笑顔の絶えないイベントとなりました。

(W-ANS ACADEMY編集部)

Araki Erika

荒木 絵里香

バレーボール

1984年8月3日生まれ。岡山県出身。小学5年生からバレーボールを始める。成徳学園高(現・下北沢成徳高)では高校全国3冠を達成。卒業後の2003年にVリーグ・東レアローズに入団。1年目に日本代表デビューすると、2008年北京五輪に出場(5位)、2012年ロンドン五輪は主将として女子28年ぶりの銅メダル獲得に貢献。2013年に元ラグビー日本代表の四宮洋平さんと結婚し、出産を経て2014年に復帰した。2016年リオデジャネイロ五輪(5位)に続き、4大会連続出場した2021年東京五輪(予選リーグ敗退)を最後に現役引退。引退後はトヨタ車体クインシーズのチームコーディネーター、バレーボール解説者などを務めながら、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で知見を深め2023年3月に卒業。

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