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滝レベルの汗が恥ずかしい! スポーツの汗&ニオイ対策を伝授 わき汗のシミ、足のムレに生理中のデリケートゾーンも

「INTERVIEW / COLUMN」記事

  

滝レベルの汗が恥ずかしい! スポーツの汗&ニオイ対策を伝授 わき汗のシミ、足のムレに生理中のデリケートゾーンも

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2023.08.24

【写真:Getty Images】
【写真:Getty Images】

汗とそのニオイの原因、予防方法などを皮膚科医の先生が回答

 わき汗のニオイや汗ジミ、足のムレやデリケートゾーンなどのニオイ、気になりますよね。特に、運動後の止まらない汗やニオイ対策に悩んで居る人、多いのでは? そこで、汗とそのニオイの原因、予防方法などを、皮膚科医の先生に教えていただきました!

 ◇ ◇ ◇

Q.汗って運動するとどうして大量に出るの?
A.発汗は命を守る体の反応。運動によって体温が上昇すると発汗することで熱を体外に放出しています。

 私たち人間は、外気の温度に関わらず深部体温を35度後半~36度の前半に保たないと、生命を維持できません。例えば、暑い環境下で深部体温が上昇すると熱中症になり、命の危険にさらされます。ですから、体に備わった体温センサーが命を維持するために、熱を放出して体温を下げたり、熱を作って体温を上げたりしながら、適切な体温を維持します。

 そして発汗は、温度調節をするために、熱を放出する働きの一つ。つまり人間にとって必要な「命を守るための機能」なんです。

 筋肉は体のなかで、もっとも熱を産生する組織と言われています。ですから、筋肉量が多く、運動量の多いアスリートやスポーツをする方は、体温が上がりやすいうえ、熱を放出するために発汗量も多くなります。

Q.気になる汗のニオイ…その原因は?
A.ニオイの原因は汗そのものではなく、汗と交じり合う「細菌」と「蒸れやすい環境」にアリ!

 汗を分泌する「汗腺」にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があります。エクリン腺は全身に存在し、アポクリン腺は、わきの下、乳首、陰部などに存在します。

 エクリン腺から出る汗は、体温調節のために放出されるもので、無味無臭でサラッとしています。一方、アポクリン腺から出る汗には、脂質やタンパク質が多く含まれ、ベタベタとしています。

 汗のニオイの原因は汗そのものではなく、かいた汗と交じり合う細菌にあります。アポクリン腺に含まれる脂質やタンパク質は最近の大好物。ゆえに菌が繁殖しやすく、わきやデリケートゾーンは匂いが強くなりやすいと考えられています。

 細菌が繁殖しやすい環境的条件は、何といっても蒸れです。例えば生理中、デリケートゾーンの臭いが気になる方は多いと思いますが、下着にナプキンをつけることにより、通気性が悪くなるためです。細菌が繁殖しやすく、そのためニオイが強くなるというわけです。

運動後の滝汗や足のニオイ…対策は?

Q.運動後の滝汗が恥ずかしい……汗を抑える方法は?
A.首の後ろやわきの下を冷やすと汗がスーッとひきます。

 汗は体温が上昇すると出やすいので、体を冷やすと発汗作用を抑えられます。冷やすとよい場所は、太い動脈が通る首の後ろ、そしてわきの下です。運動後にアイシングや保冷剤をあてる、ない場合は、水道水を湿らせたハンカチやタオル、冷たいペットボトルをあてるのもよいでしょう。

Q.運動後の汗臭さ対策、どうすればいい!?
A.汗を洗い流すか清潔なタオルでふき取ってから制汗剤を使いましょう!

 ニオイ対策としてもっとも有効なのは、シャワーを浴びで汗を洗い流すことです。シャワー設備が運動環境下にない場合は、水にぬらした清潔なタオルで体を拭くのもよいです。

 そして運動後、汗をある程度拭いたら、制汗剤を使います。制汗剤は汗のニオイにはもちろん、ムレの原因になる運動後の汗を抑える意味でも有効ですよ。

Q.部活後、足が臭いのが気になります……
A.水で足を洗い、水気をふき取りましょう。特に指の間は念入りに洗って!

 実は足元の汗腺はエクリン腺ですが、靴下や靴をはくため蒸れやすい、皮膚につく細菌の種類が他の部位と異なるといったことが原因で臭くなりやすい部位です。また、水虫もニオイの原因になります。

 足元が気になる場合、運動後、水道で足の裏を洗うとニオイ予防に効果的。特に、足の指の間はムレやすいので、忘れずによく洗うことがポイントです。その後、乾いた清潔なタオルで水分をしっかり拭きとるのも、大切なポイントですよ。

生理中は特に心配なデリケートゾーンのニオイも気になる

Q.デリケートゾーンのニオイが周りに伝わっていないか、気になります。特に生理中は心配。
A.一番のニオイ予防策は清潔を保つこと。特に生理中はビデで洗うと効果的。

 体の粘膜部分、デリケートゾーンでいうと膣や肛門の粘膜には細菌が繁殖したら自動的に体外に排出するシステムが備わっています。「おりもの」も細菌を排出してくれる物質の一つです。ただし、汗をかいたら洗い流さないとニオイは悪化します。特にムレやすい生理中は、ビデを使って洗ったり、膣専用の洗浄剤を使ったりするとよいでしょう。もちろん、水分はしっかり拭き取ります。

 また、下着の選び方も大事。特に運動時は、通気性がよく、汗対策を考えられた吸汗速乾素材の下着を選びましょう。部活がない日、運動をしないときでも、コットンやシルクといった自然素材の下着がおすすめです。吸汗速乾素材ではない化学繊維は吸汗性が悪く、ムレからニオイのもとになる細菌が繁殖しやすくなります。デザイン重視でつい選びがちですが、ニオイや清潔感を考えると避けた方がよいでしょう。

Q.制汗剤って本当に効果ある? 選ぶなら何を選べばいい?
A.制汗剤はもっとも手軽で効果的な汗対策アイテム 種類も豊富なので目的に合った製品を見つけて!

 制汗剤は、汗のニオイが気になる人、汗をよくかく人にとって、もっとも手軽で効果的なものです。

 制汗剤の作用は主に2つ。消臭作用と制汗作用です。消臭作用には殺菌成分などが、制汗作用には、汗の出口となる汗腺をふさぐ・少し引き締める成分などが働きます。

 今は市販の制汗剤の種類も大変多く、商品によって強化しているポイントが異なるので、自分の目的に合ったものを選べます。こだわって選びたいときは、薬局で購入する前に成分を調べたり、薬剤師の方に聞いたりするのも手です。

 また、データ上でいうと、スプレータイプよりも、肌に直接ぬるロールオンタイプのほうが、汗のニオイを抑えると言われています。ただし、劇的な効果の違いはないので、使い心地や香りなど、お好みのものを選んでいただいて大丈夫です。

 ちなみに、汗の量やニオイの悩みが深刻な場合、クリニック(皮膚科)の専売品を使うこともおすすめです。クリニックで専売されている制汗剤は一般的に売られているものよりも制汗作用の強い成分が配合されています。例えば、塩化アルミニウムという成分は発汗量を抑制する働きがあり、「シャツの脇汗が目立つから抑えたい」というような場合、効果的です。

 最後に、汗のニオイ、服にしみるほどの大量の汗は、人によりストレスの原因になります。でも、運動は人間にとって大切な発汗機能を高め、体の健康だけでなく、心の健康にもプラスになります。汗が原因で、大好きなスポーツを楽しめなくなるのはもったいない! 汗ジミを目立たなくする、ニオイを防ぐことはできますので、これからも快適に、スポーツを続けていただけたらと思います。

教えてくれたのは…

高瀬聡子先生

皮膚科医、美容皮膚科医。ウォブクリニック中目黒総院長。慈恵会医科大学卒業後、慈恵会医科大学付属病院皮膚科に入局。2007年ウォブクリニック中目黒を開業。美しく幸せになるための治療提案やゴール設定、治療を患者に寄り添いながら行うことを心がけている。著書に『いちばんわかるスキンケアの教科書』(講談社)など。
https://wove.jp/

(W-ANS ACADEMY編集部)

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