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100gの増減でも叱られた 「太りやすい」新体操・皆川夏穂はいかに体重をキープしたか

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100gの増減でも叱られた 「太りやすい」新体操・皆川夏穂はいかに体重をキープしたか

著者:佐藤 直子

2023.07.16

体重管理

皆川夏穂が経験した厳しいロシアの体重管理システム【写真:Getty Images】
皆川夏穂が経験した厳しいロシアの体重管理システム【写真:Getty Images】

ロシア留学当初は厳しい体重管理に苦戦… 100グラムの増減でも要注意

 身長171センチ、体重54キロ。手足がスラリと伸びる抜群の8頭身スタイルを誇る新体操の皆川夏穂さん。13メートル四方のマットの上で、フープ、ボール、クラブ、リボンの4つの手具を自在に操りながらダイナミックかつ可憐に舞う姿は、観る者を惹きつけてやみません。

 中学卒業後の2013年から新体操の強国・ロシアへ渡り、ロシア人コーチやトップ選手たちに囲まれながら、その技を磨きました。2016年リオデジャネイロ五輪に日本人として3大会ぶりに個人総合で出場すると、翌年の世界選手権ではフープで3位となり、日本人では42年ぶりとなる個人種目でのメダルを獲得。日本が一時低迷していた新体操個人種目というフィールドに風穴を開けました。

 難易度の高い技術と運動能力が求められる一方、芸術的な美しさが大事な構成要素となる新体操において、ベストな体型の維持は不可欠となります。女子とスポーツを語る時、他競技においても行き過ぎた体型維持や体重コントロールにより健康を損なう選手は少なくないですが、「実は結構太りやすい体質なんです」という皆川さんも試行錯誤した経験を持っています。

 ロシア留学を始めたばかりの頃、まず驚いたのはロシアでの体重管理システムでした。

「ロシアでは体重が厳しく管理されていて、わずか100グラムや200グラムの増減でも、現地のコーチやスタッフからかなり注意を受けました。そこがすごく大変で大変で。結局、そのシステムに沿ってやっているうちに、体重の数値ばかりに囚われている自分がいました」

 体重管理のことばかり考えて、食事の栄養バランスを崩したり、試合前に体調が優れないことがあったり。そこでロシアで師事するナディア・ホロドコバ・コーチと話し合い、「体重ばかりに気を取られないで、見た目重視でいこうということになりました」と振り返ります。

「体重の数値より、演技をする時に引き締まって見えたり、しなやかに見えたりする体作りに意識を置いているので、筋肉の使い方や動き方を重視しています」

栄養バランスを考えた食事が中心、オフには大好きな和菓子を堪能

皆川夏穂が経験した厳しいロシアの体重管理システム【写真:Getty Images】
皆川夏穂が経験した厳しいロシアの体重管理システム【写真:Getty Images】

 ロシア滞在中や日本で合宿をする際は栄養管理された食事を摂っているが、常に意識しているのは「バランス良く食べること」だといいます。

「太りやすい体質なので、好きなものばかり食べているとどんどん太ってしまうんです。だから、普段は極力好きな食べ物や甘い物は我慢するようにして、野菜や食物繊維、ミネラルやビタミンなどを多く摂るように心掛けています。練習後のタンパク質摂取も大事なので、そこも忘れないように栄養士さんからいろいろ教えていただいています。

 自分で特に意識して食べているのは海藻類ですね。わかめやひじきは食物繊維もミネラルも鉄分も豊富。ただ、ロシアにはほとんどないので、ロシアへ行く時は必ず乾燥わかめとフリーズドライのお味噌汁を持っていくようにしています」

 ただ、好きな食べ物を食べずに我慢しすぎると、それがストレスとなってしまうことも。

 そこで休みの日やオフ期間には大好きな和菓子を解禁。「あんこがすごく好きなので、大福やおはぎは全般が好きで、時には小豆だけで味わうこともあります。試合の時に小腹が空くこともあるので、小さい羊羹を持っていったりもします」とニッコリ笑いました。

 体重ばかりに囚われず、見た目に映える健康美を重視。そして、栄養バランスを考えた食事を中心としながら、時には自分へのご褒美で和菓子を堪能。体も心も健やかな美を保てているからこそ、マットの上で披露するパフォーマンスがさらに輝きを増すのかもしれませんね。

(W-ANS ACADEMY編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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