「INTERVIEW / COLUMN」記事
タンパク質量の目標は1食「15~20グラム」 プロテインパウダーの効果的な摂り方を専門家が指南
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2024.11.14
食事
特集「女性のためのプロテイン」第2回
スポーツをする多くの人が、日々の食生活に取り入れている「プロテイン」。タンパク質を手軽に補給・補強できるプロテインは、スポーツをする人は勿論、健康や美容も気になる人にとっても活用したい食品の一つです。プロテイン特集第2回は、プロテインパウダーの効果的な摂り方やタイミングについて、公認スポーツ栄養士の吉谷佳代さんに教えていただきました!
◇ ◇ ◇
1日のタンパク質推奨量は、成人女性で50グラム。成長期にあたる中高生女子は55グラムが推奨量です。アスリートの必要量は、運動強度によって変動があり、体重1キロあたり1.2~2.0グラムとなります。
厚生労働省が発表する日本人の国民健康・栄養調査(令和4年度)によると、すべての年代でタンパク質の摂取量は十分足りています。ただし、1日のトータルでは足りているものの、適切なタイミングに摂れていない恐れがあります。
実はタンパク質は1度に体内で吸収される量に限りがあります。つまり、「朝昼とタンパク質が少なかったから夕飯でたっぷり食べよう」という「食べ貯め」はできません。1日かけて、毎回の食事と補食でこまめに摂るのが正解です。
一般的に、タンパク質が効率良く体に利用されるのは、1食につき約20グラム程度までです(体の大きな男性はもう少し上限が増えます)。つまり1回の食事や補食で15~20グラムまでのタンパク質を摂ると、効率良く、かつ1日の推奨量を摂ることができます。
具体的な献立で目安をお伝えすると、朝食のイメージであれば卵1個(7グラム)、プレーンヨーグルト100グラム(約4グラム)、5枚切りトースト1枚(約6グラム)または茶碗1杯のご飯(ご飯150グラムで約4グラム)で、計15~20グラムをクリアできます。和定食(ご飯、主菜、副菜、汁物)であれば計20~30グラム。肉や魚は100グラムでタンパク質を約20グラム摂れます。和定食はこれにご飯、豆腐、青菜などから植物性のタンパク質が摂れるので、理想的な献立です。
最もハードルが高いのは、おそらく朝食でしょう。時間がなく、食パンとコーヒーだけで済まされる方が多いと思いますが、ヨーグルトや牛乳にスプーン1杯のプロテインパウダーを加えると、手間をかけずにタンパク質を補給できます。また、ヨーグルトやシリアルボウルに加えるだけでも、高タンパクの一品に変身です。
また、プレーン味であれば料理の味を邪魔しないので、カップスープや味噌汁に入れてもOK。ただし、プロテインパウダーは熱湯を注ぐと変質し、ボロボロとした塊になります。温かいスープや牛乳、豆乳などに入れる場合は、60度程度まで温度が下がってから加えると、しっかり混ざります。
味付きパウダーで“味変”も楽しもう!
ランチにありがちな一品料理……パスタだけ、カレーライスだけ、サンドイッチだけといった食事も、タンパク質量がすごく低くなりがちです。例えば、外出時はプロテインパウダーを入れたタンブラーを持参。飲む直前に水を加え、ランチにプラスしたり、補食として摂ったりするといいでしょう。
ハードな練習が連日続く時は、練習後にプロテインパウダーを摂ると疲労回復をスムーズにします。ただし、練習後1時間以内に食事が摂れる場合は、夕食でしっかりタンパク質のおかずを食べれば大丈夫です。
さて、前回も少し触れましたが、中学生・高校生の場合ですが、タンパク質は食事でしっかり摂ることが基本。安易にプロテインパウダーに頼るのではなく、バランスの良い食習慣を身に付けることが先決です。
「朝、食欲がない」「朝練があって朝食を食べる時間がない」など、どうしてもしっかり食べられない日は、プロテインで補うぐらいが適切。その際、牛乳や豆乳を飲む習慣があれば、スプーン1杯分だけ加えるのがおすすめです。
量の調整が簡単なのは、プロテインパウダーの良いところ。味付きのパウダーを使えば“味変”も楽しめます。
最後に、パウダーにひと手間加えた補食におすすめのレシピを一つ。備え付けのスプーン1杯のプロテインパウダーに、スプーン1/2~1杯の牛乳、または豆乳を加えます。これを、よく練って混ぜるだけで、『プロテインペースト』の完成です。
これをトーストに塗れば、糖質+タンパク質をしっかり補給できる補食になります。チョコレート味やキャラメル味のプロテインパウダーで作ったペーストを塗り、バナナをトッピングするのも美味しいですよ。
■吉谷 佳代 / Kayo Yoshitani
管理栄養士/公認スポーツ栄養士。江崎グリコ株式会社で健康食品開発や、スポーツサプリメントの研究開発に従事。その傍ら、多くのアスリート、学生スポーツ、ジュニアへの栄養指導、食育イベントに携わる。2013年に独立。以降、ジュニアからトップアスリートまで幅広い競技の選手に対し、栄養サポートを行う。現在、プロ野球・阪神タイガース、実業団女子バレーボール・JTマーヴェラスのチーム専属栄養士。過去には、シスメックス女子陸上競技部(2015~2020年)、Bリーグ・西宮ストークス(2014~2017年)、自転車ナショナルチーム(2013~2018年)をはじめ多くのプロ選手やジュニア選手の栄養サポート実績を持つ。
(W-ANS ACADEMY編集部)
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