「INTERVIEW / COLUMN」記事
睡眠の質を妨げる2つの「NG行動」とは? 就寝直前や休日にやりがちな習慣を見直そう
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2024.10.10
コンディショニング
特集「アスリートと睡眠の質」第2回
睡眠不足や寝ても疲れが取れない日が続くと、練習や試合で力を発揮したり集中力を保ったりすることが難しくなります。睡眠特集の第2回は、睡眠不足や眠りが浅い時の対処法。今日からできる方法を、睡眠の専門医とナショナルチームのトレーナーの方に教えてもらいました。
◇ ◇ ◇
「もし睡眠が不安定になったら、まずは睡眠時間や生活パターン、そして就寝前の行動を見直すと効果的です」
日本代表選手をはじめ、多くのアスリートに睡眠を指導する白濱龍太郎先生は言います。
「最初のステップは、スケジュールの可視化です。1日の行動をデバイスやアプリを使って記録する、あるいは練習ノートに書き出し1~2週間の生活パターンを振り返ります。
すると毎日、自分がどのぐらい寝ているのか、睡眠時間の短い人は、睡眠に回せるような無駄な時間はないかを見つけるなど、自分と向き合うことができ、睡眠の悩みを解決するきっかけが見つかります」
逆にNG行動は、就寝時間と起床時間がバラバラであること。
「人間はメラトニンやコルチゾールといったホルモンの分泌によって、1日の体のリズムを刻む『体内時計』がコントロールされています。就寝時間と起床時間が一定であると、ホルモンの分泌も安定し、体内時計が整いやすく、睡眠のリズムも良好に。結果、スムーズに眠れたり、熟睡できたりします。
逆に日によって就寝時間と起床時間がバラバラになると、日本にいながら体が時差ぼけを起こしてしまい、眠りがどんどん不安定になります。休日やオフの日の「寝だめ」も、体にとっては実はマイナス。ゆっくり寝ていたくても、通常の1、2時間程度、遅く起きるぐらいに心がけましょう」
眠りのスイッチを入れてくれる入眠の儀式

もう一つ、見直したいのが寝る前の行動。なかでも、寝る直前までスマートフォンやパソコン、テレビの画面を見るのはNG。これらは交感神経を刺激するブルーライトを発しているため、睡眠を妨げると白濱先生は指摘します。
「ブルーライトカットのフィルムや眼鏡を使っても、100%カットすることはできません。基本中の基本ですが、寝る1~2時間前から見ないようにすることは、睡眠を促すための重要なポイントです」
特に気を付けたいのが、SNSとの関わり方。ブルーライトと心に与える影響と二重の意味で、睡眠を邪魔する原因になっているそう。
「ライバルやチームメート、友人の投稿が気になり始めると、他人のポジティブな投稿によって気持ちが追い込まれたり焦りにつながったりします。気になるのは分かりますが、必要のない情報もどんどん入ってきてしまうので、せめて寝る前はSNSを見るのは避けましょう」
逆にデバイスを遠ざけて2つ3つ、小さな入眠の儀式を習慣づけると、眠りのスイッチが入りやすくなるそう。
「儀式といっても、例えばトイレに行く、水を飲む、明日の準備をする、ストレッチを行う……など小さな行動でOK。これらを寝る前の習慣にすると、『あ、そろそろ眠る時間だな』と脳が察知し、眠りのスイッチを入れてくれます」
起床直後に外の光を浴び「体内時計」を整える
「ナショナルチームでも睡眠との向き合い方は、セルフコンディショニングの一環として重要視しています」と話すのは、審美系競技を中心にナショナルチームのトレーニングを担当する泉建史フィジカルトレーナー。
選手には日々、練習内容や食事とともに睡眠時間を記録すること。そして就寝する1時間前から、スマートフォンを見ないようにと伝えているそうです。
「良い睡眠を得るには、ベッドに上がってから眠りにつくまでの環境作りがとても大切です。普段から携帯を持って布団に入ると、脳は『横になったらスマホを見る時間だ』と認識し、逆に目が冴えてしまいます。もしも今、布団のなかでスマホを見る習慣があるなら、まずはスマホを持たずに布団に入ることから始めてみてください。
また、起き抜けは天気に関係なく、外の光を浴び、朝食を摂るまでをセットに考えて行動するよう伝えています。これだけで体内時計が整い、夜、自然と眠たくなるよう促してくれますよ」
教えてくれたのは…
■白濱 龍太郎 / Ryutaro Shirahama
医師、医学博士、産業医、日本睡眠学会認定医。筑波大学医学群医学類卒業、東京医科歯科大学大学院東郷呼吸上顎修了。東京医科歯科大学医学部付属病院等を経て、13年、新横浜にて睡眠専門クリニック「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を設立。慶應義塾大学特任准教授、国立大学法人福井大学客員准教授、武蔵野学院大学客員教授、日本オリンピック委員会強化スタッフ、ハーバード大学公衆衛生大学院客員研究員などを歴任。『「寝つきが悪い」「すぐに目が覚めてしまう」人のお助けBOOK』(主婦の友社)、『体温を上げて睡眠の質を高める!70歳からの「寝る前30秒ストレッチ」』(PHP研究所)など著書多数。
■泉 建史 / Takeshi Izumi
フィジカルトレーナー/フィジカルコーチ 、日本オリンピック委員会(JOC)医科学強化スタッフ 、ナショナルチーム・フィジカルコーディネーター、米国スポーツ医学会認定 運動生理学士 (ACSM/EP-C)。2019年、NSCAジャパン最優秀指導者賞受賞。ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設の医・科学サポートプロジェクト委員として、体操競技をはじめ複数のスポーツ強化を歴任。プロスポーツではJRA日本中央競馬会・競馬学校・トレーニングセンター騎手実践課程フィジカル育成を担当。また、国際的な組織のNSCAジャパンのエリアディレクターとして後進の教育に力を注ぐ。ほか東大阪市のスポーツ教育アドバイザー、書籍執筆、SDGs活動など幅広く活動する。
(W-ANS ACADEMY編集部)
RECOMMENDED ARTICLES
おすすめ記事
2025.12.20
知っておきたい「自分の取扱説明書」 緊張と“仲良くする”ための大切な考え方――フィギュアスケート・鈴木明子さん
コンディショニング
2025.12.18
4度の五輪出場を経て伝えたい「未来は1日1日の積み重ね」 かつて胸に刺さった名言とは――バレーボール・荒木絵里香さん
キャリア
2025.11.17
コンビニで買う試合期の“アスリート食” 昼食は基本おにぎり、洋菓子でも補食に最適な一品は?
コンディショニング
食事
2025.11.01
栄養士イチオシの試合後メニューは? NG食品も紹介、スポーツ界でいま注目の“脱アルコール”の動き
コンディショニング
食事
2025.11.01
“糖質×水分×たんぱく質”で疲れた体を回復! 女子選手と試合期の食事…「ごほうび」には要注意
コンディショニング
食事
What’S New
最新記事
2025.12.23
『ソフィ』が受験生応援プロジェクトを今年も実施 赤本とコラボした「生理対策」本も無料配布
月経
2025.12.23
美容でアスリートの課題を解決 大山加奈さんも推進するプログラムへの参画数が30チームを突破
2025.12.20
試合中のミスを引きずってしまう…その場で切り替えるよい方法はある?
コンディショニング
2025.12.20
ケガや体調不良で練習できない 焦りがちな時間を有意義に過ごす方法を教えて!
コンディショニング
怪我
2025.12.20
親の応援がプレッシャー…傷つけずに「放っておいて」と伝えるにはどうしたらいい?


