「INTERVIEW / COLUMN」記事
「やせられてラッキー」の考えはNG 食欲不振時こそ“食べる”…「秋バテ対策」4つのコツ
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2024.09.24
コンディショニング
食事
特集「カラダを整える女子アスリートの秋バテ対策」第1回
まだまだ暑さを引きずる秋。夏バテならぬ「秋バテ」によって、調子を崩したり、食欲が出なかったりする人は少なくありません。そこで公認スポーツ栄養士の橋本玲子さんに、食事でできる秋バテ対策を教えてもらいました。まずは秋にコンディションが低下する要因について学びましょう。
◇ ◇ ◇
秋バテの要因はいくつかありますが、主には熱帯夜による睡眠不足や、発汗にともなう脱水と体内の電解質(ナトリウムやカリウム)の不足。そして、高い気温と紫外線によるストレスや外気温と室内の温度差です。
これらの要因が重なると、自律神経の機能が低下。食欲が低下する、内臓や心身の疲れが抜けないといった症状が表れます。
疲労による食欲の低下や内臓疲労は、スポーツのパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。食事の量が少なくなる、食べても消化吸収が上手くできないといった理由から運動に必要なエネルギーが不足。スタミナがもたない、集中力が低下する、筋肉量が落ちるといった症状につながり、練習や試合で力を発揮できません。
加えて、長く引きずると慢性的なエネルギー不足によって、月経周期や骨の成長などに関わる様々な健康障害を引き起こす恐れがあります。特に夏からバテの症状が続いている人は要注意。「食べられないのは今だけだから」とか「ついでにやせられてラッキーかも」などと、安易に考えるのはNGです。
食欲が低下した時に一番大事なことは、「しっかり食べることを意識する」です。そうはいっても、十分な量を食べることはなかなか難しいと思うので、いかに効率良く必要なエネルギーと栄養素を摂るかがポイント。
そこで、秋バテ中の食事の摂り方の4つのコツを挙げます。
1日3食を崩さず、栄養価の高い補食も意識
秋バテ対策の食べコツ①
食欲がなくても欠食はしない!
エネルギー源になるものを食べないで活動すると、輪をかけて秋バテの症状が重くなります。どんなに食欲がなくても、朝・昼・晩の3食は抜かないよう意識しましょう。特に朝は食欲がわかない人が多く、欠食しがちです。朝は温かい食事――例えばスープやお味噌汁、おかゆなど――にすると、胃腸が目覚めて食欲がアップし、元気も出ます。
秋バテ対策の食べコツ②
『ちょこちょこ食べ』でこまめに栄養補給
一度にたくさん食べられない……というのも、秋バテに見られる症状。でも、食事の量が少ないとエネルギーだけでなく、糖質、タンパク質、ビタミンと、体に必要な栄養素が不足しやすくなります。1回の食事の量は少なくてもいいので、食べる回数を増やし、いつもどおりの量を食べられるよう工夫を。まずは1日3食に加え、栄養価の高い補食を2、3回摂ることを試してみてください。
秋バテ対策の食べコツ③
ビタミンB群を摂ってエネルギー代謝を効率化
いつもより食欲が低下する時こそ、食べたものを効率良くエネルギーに転換を。その際、欠かせない栄養素がビタミンB群です。代表的な食品はビタミンB1を含む豚肉や、たらこ、B2を含む牛乳や乳製品(チーズやヨーグルト)、納豆。糖質やタンパク質と一緒に食べると効果的です。
秋バテ対策の食べコツ④
抗酸化物質で「サビ」を溜めない体に!
強いストレスにさらされると体内には大量の活性酸素が発生。これがいわゆる体の「サビ」となり、疲労の原因になります。そこで、サビの蓄積を防ぐ抗酸化物質を含む食品を意識して摂りましょう。代表的な抗酸化物質にはポリフェノールやカロテノイド、ビタミン類などがあります。色の濃い野菜、柑橘系の果物、そしてナッツ類に多く含まれます。
次回は、4つの食べるコツや代表的な食品、レシピを紹介します。続けてチェックしてみてください。
(W-ANS ACADEMY編集部)
Hashimoto Reiko
橋本 玲子
管理栄養士/公認スポーツ栄養士
株式会社 Food Connection 代表取締役。サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。姉妹サイトであるスポーツ文化・育成&総合ニュースサイト『THE ANSWER』では、食のスペシャリストとしてアスリートをはじめスポーツをする方々に向けた、食と栄養に関する情報発信にも力を入れている。アメリカ栄養士会スポーツ・ヒューマンパフォーマンス栄養(SHPN)並びに、スポーツ栄養を専門とする国際的なプロ集団(PINES)のメンバーとして海外の栄養士との交流も多い。
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