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暑い夏こそ入浴で疲労回復! スポーツ後の疲れた体にジワジワ効く「浮力」「水圧」「温熱」の三大効果

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暑い夏こそ入浴で疲労回復! スポーツ後の疲れた体にジワジワ効く「浮力」「水圧」「温熱」の三大効果

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2024.08.14

コンディショニング

【写真:Getty Images】
【写真:Getty Images】

特集「夏の入浴」第1回、専門家が自律神経のバランスを整える効果を解説

 夏のバスタイムはサッとシャワーで済ませがち。でも、スポーツをする人、夏バテで元気が出ない人にとって、入浴は毎日できるコンディショニング法の一つです。そこで、夏の入浴について日本薬科大学の石川泰弘特任教授に話を聞き、3回にわたり大特集。第1回では、入浴の効果について学びます!

 ◇ ◇ ◇

 蒸し暑い屋外と、肌寒いほどエアコンの効いた屋内。毎日、温度差のある環境を行き来する夏は、「自律神経のバランスが崩れ、体調不調になりやすい」と日本薬科大学の石川泰弘特任教授は言います。

「私たちの体は24時間365日、自律神経が体温や血流など様々な機能をコントロールしています。

 自律神経には『交感神経』と『副交感神経』があり、『交感神経』の働きが優位になると、血管が収縮して心身ともに緊張状態に。一方、『副交感神経』の働きが優位になると、血管が適度にゆるみ、穏やかなリラックス状態になります。

 暑さや気温差の激しい環境下では、交感神経が優位になりやすい。結果、自律神経のバランスが崩れてしまい、体温や血流の調節がうまくいかず、夏バテなどの体調不良を起こしやすいのです」

 自律神経のバランスを整えてくれる方法の一つが、入浴。「浮力」「水圧」「温熱」という入浴の三大効果が、体にジワジワ効いてきます。

「浮力は関節にかかる負荷をなくし、体にかかる水圧によって、呼吸や心拍数が増加し、血行を促進。そして心地よい温度の湯につかると、温熱効果によりギュッと収縮した血管を緩めます。すると、心身の緊張がほぐれ、副交感神経の働きがアップ。自律神経のバランスを整えてくれます」

「浮力」を感じればパフォーマンス向上にもつながる

 自律神経が整うと血液循環が促され、免疫力のかたまりである白血球やホルモンが全身を駆け巡ります。結果、免疫も正常に機能し、コンディションは良好に!

「また、浴槽にゆっくり浸かると、体温が上昇。これが良質の睡眠につながります。

 もともと人は夜になると体温が下がります。入浴で体温は一時的に上昇しますが、その後、熱放散も進みスムーズに下がります。その状態で眠りのスイッチが入るので寝つきがよくなり、かつ眠りも深くなります。

 体の疲れは睡眠でしか解消できません。スポーツをする人にとって入浴は疲労回復をサポートしてくれる強い味方です」

 さて、スポーツをする人は入浴の効果の一つ、『浮力』を感じることが大事だとか。

「お湯に浸かったら両腕を伸ばし、全身の力を抜いてみましょう。この時、『あ、腕が軽いな』と感じられたら、自律神経のバランスがとれている指標になります」

 毎日、練習やトレーニング、そして試合が続くアスリートや運動部の学生は、心身ともに常に緊張状態。交感神経が優位に働いているため、入浴でリラックスモードに。

「大事な試合前などは、ぜひ浮力を感じ『力が抜けている』状態を感じてみてください。心身ともにメリハリがついて、パフォーマンスアップにもつながるでしょう」

教えてくれたのは…

■石川 泰弘 / Yasuhiro Ishikawa
日本薬科大学 医療ビジネス薬学科 特任教授。スポーツ健康科学博士。温泉入浴指導員。06年より㈱バスクリンで『お風呂博士』として入浴剤のPRに従事。21年より現職。入浴と睡眠によるリカバリーを専門とし、運動生理学、美容論を担当する。バスクリン時代より多くのトップアスリートに対し入浴によるリカバリーのレクチャーやサポートを実施。また、メディアや講演を通して、入浴と睡眠に関する情報を発信する。

(W-ANS ACADEMY編集部)

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