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「歩く」から始める「大人のランニング」第2回~実践編~ 体力の低下、体重増、ウツウツ気分……すべての悩みは「ラン」で解消!

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「歩く」から始める「大人のランニング」第2回~実践編~ 体力の低下、体重増、ウツウツ気分……すべての悩みは「ラン」で解消!

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2024.06.27

実践編では練習メニューを解説【写真:松橋晶子】
実践編では練習メニューを解説【写真:松橋晶子】

まずは「スタスタウォーキング」で動く習慣をつけよう

 実は「ラン」は誰もが簡単に始められる運動の代表。運動経験も年齢も関係なく、思い立ったその日からスタートできます。でも、「走る」ことへの苦手意識が先だって、なかなか始められない方が多いのも事実。そこで、体力に自信のない大人でも、「ケガなく」「苦しくなく」始められる、正しい「走り方」を特集。今回はいよいよ、ラン、実践編です。

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ラン初心者のための練習メニューまとめ 

ステップ1:腕振り、大股、早歩きの「スタスタウォーキング」を15分~20分間からスタート。平日は30分、休日は60分を目指す。

ステップ2:15分間の「スタスタウォーキング」に続けて、1~3分の短いウォーキングとジョギングを繰り返す「ラン&ジョグ」を3セット

ステップ3:平日は5分間の「ラン&ジョグ」、休日は10分間の「ラン&ジョグ」を各3セット。以降はジョグの時間を徐々に延ばしていく
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 最後に走った記憶は、学生時代。体重が増えたうえ、体力も筋力も落ちた今、いきなり走ってもすぐに息があがりそう……。多くの方が、そんな不安を抱えていると思います。

 でも、心配は無用。なぜなら、「ランへの第一歩は、ウォーキングを始めること」と、ランニングコーチの木下裕美子さん。

「これまで運動習慣がなかった方は、走るために必要な筋肉が落ちています。また、ダイエット目的の方は、体重も重くなっているので、急に走りだすと関節や筋肉に負担がかかり、ケガをしてしまいます。まずは週3、4日のウォーキングで、体を動かす習慣をつけましょう」

 ポイントは、ダラダラと歩かないこと。あくまでも「走る準備」のためのウォーキング。散歩のようにのんびり歩くのではなく、腕を振りながら大股で早歩き、が鉄則。

「目標は15~30分。日常的によく歩いている人は、最初から30分間。歩く習慣のない方は15~20分程度で十分。最初から長時間歩こうと無理をせず、疲れたなと思ったらやめてOKです。頑張りすぎると挫折の要因になります」

 ウォーキングは走りの基礎。自分がジョギングする姿をイメージしながら、しっかり「動ける体作り」を行いましょう。

HOW TO: スタスタウォーキングの歩き方は、少し早歩きで、少し大股、がポイント。肘を曲げて、走るときのように大きく腕振りをすると、より足が前に出やすくなります。姿勢は上から頭を引っ張り上げられているイメージで、上体を伸ばして。

早歩きになれたら、いよいよ「ウォーク&ジョグ」で走りだそう!

ウォーキングの姿勢【写真:松橋晶子】
ウォーキングの姿勢【写真:松橋晶子】

 2週間ぐらい「スタスタウォーキング」を続けると、体が動きに慣れ、息も上がらなくなります。2週目の後半~3週目に入ったら、軽く走ってみましょう。

 最初はウォーキングと交互に、短い距離をジョギング(以下、ジョグ)。「15分間の早歩きに続けて、電柱1本ごとに、歩きと走りを交互に3回、繰り返します。電柱がない場合は、1分間、交互に行えばOK。体が慣れてきたら、電柱2本ごと、3本ごと、時間で言うと2分間、3分間……と徐々に増やしていきます」

 この段階での最重要ポイントは、ゆっくりとしたスピードで走ること! 「おしゃべりしながら走れるペース」が正解です。

「実は初心者の方ほど、ペースが掴めず、ついスピードが上がりやすい。息が上がったら速すぎる、と思って。

 また、距離や時間もいきなり長くすると、無理がたたり続きません。毎回、『あ~気持ちよかった!』という気分で終われるぐらいがベスト。すると、『また歩きたい、走りたい』という気持ちにつながります」

 疲れている日は30分間のスタスタウォークで終わっても、お休みをしてもヨシ。ペースも距離も、最初から飛ばし過ぎないことが、継続のコツです。

HOW TO ジョギング:フォームは歩くときと同じで、姿勢は上から頭を引っ張り上げられているイメージで、上体を伸ばします。顎を少し引いて視線は5~10m先に。下を見過ぎないように注意して。肩の力を抜いて腕を振り、脚はみぞおちから動かすイメージで走ってみましょう。息が上がってきたら吐くことを意識して自然な呼吸を続けて。

ジョギングのフォーム【写真:松橋晶子】
ジョギングのフォーム【写真:松橋晶子】

NG
猫背で頭が前に出た姿勢で走ると、呼吸が浅くなり、全身の筋肉をうまく使えず、首や肩が疲れやすい。また、体幹が弱い人は、腰が落ち、膝が曲がった姿勢でペタペタ走りがち。すると疲れやすいうえ、足首や膝、腰も痛めやすい。

ジョギングフォームのNG例【写真:松橋晶子】
ジョギングフォームのNG例【写真:松橋晶子】

目標は5kmラン 3か月後には誰もがラク~に走れる!

 そして、「交互ラン」を2、3週間続けるころには「もっと走れるかも」という自信が湧いてくるはず。「そうなったら、5分間続けて走ってみて」と、木下さん。

「5分間ウォーク&5分間ジョグを3セット行いましょう。ポイントは同じく『ゆっくりペース』。5分間、気持ちいいなと感じながら走り続けることが大事!」

 そして、週末など時間がたっぷりある日は、10分間ウォーク&10分間ジョグにチャレンジしてみたり、調子がよさそうな時は続けて15分、20分と走ってみたりと、走る時間を延ばしてみて。「最終的には5km続けて走れることが目標」と木下さん。

「5kmなんて無理、と思う方もいるかもしれませんが、どんなに運動が苦手な方でも、3か月後にはゆっくりとしたジョグで5km続けて走れるようになります。そこまでくると、走ることに体が慣れるので、走れる距離がグングン伸び、10km、1時間、と走り続けられるようになりますよ」

【初心者ラン二ングQ&A~実践編】

Q.ダイエットに効果的なのは朝ランor 夜ランのどっち?

A.自分の続けやすい時間がベストです。1日、1週間、走ったからといってすぐにやせるわけではありません。とにかくすぐに結果を求めず、長い目でみて、継続することがダイエット成功のカギです。ちなみに、朝走ると脂肪燃焼スイッチが入りやすく、1日のいいスタートが切れますし、夜走ると仕事やプライベートで嫌なコトがあったり、モヤモヤした気持ちになってもリセットされ、気分が晴れますよ!

Q.ジョグの際、横っ腹が痛くなったら? 

A.お腹が痛くなったら、痛みが治まるまでウォーキングに切り替えましょう。いったん立ち止まり、お腹のストレッチをするのも効果的です。走っているときの腹痛の要因は、筋力不足や呼吸が浅くなる、脱水、睡眠不足など様々。水分補給をしてから走る、ゆっくりペースで走ることも予防策の一つです。また、食事は走る2時間前までにすませるとよいですよ。

教えてくれたのは……

  【写真:松橋晶子】
【写真:松橋晶子】

■木下 裕美子 / Yumiko Kinoshita

ランニンクコーチ、コンディショニングコーチ。小学4年生から陸上を始める。県立和歌山商高校時代、中距離、駅伝でインターハイ、全国高校駅伝、国民体育大会等に出場。高校卒業後は実業団のシスメックス陸上部に入団。2000年に退団後はマラソンランナーとして活躍する。2022年に長男を出産。10か月後にはフルマラソンの大会に復帰した。現在、ランニングコーチとして、ランニング初心者から市民ランナーへの指導を行う。主な成績は2015年東京マラソン10位(日本人3位)、2017年大阪マラソン優勝。 https://www.instagram.com/_yumiko_kinoshita_/

(W-ANS ACADEMY編集部)

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