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「歩く」から始める「大人のランニング」第3回~体作りとケア編~ 体力の低下、体重増、ウツウツ気分…すべての悩みは「ラン」で解消!

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「歩く」から始める「大人のランニング」第3回~体作りとケア編~ 体力の低下、体重増、ウツウツ気分…すべての悩みは「ラン」で解消!

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2024.06.28

ランニングコーチの木下裕美子さん【写真:松橋晶子】
ランニングコーチの木下裕美子さん【写真:松橋晶子】

3種類の簡単筋トレで、もっと楽に走れるカラダに

 実は「ラン」は誰もが簡単に始められる運動の代表。運動経験も年齢も関係なく、思い立ったその日からスタートできます。でも、「走る」ことへの苦手意識が先だって、なかなか始められない方が多いのも事実。そこで、体力に自信のない大人でも、「ケガなく」「苦しくなく」始められる、正しい「走り方」を特集。第3回のテーマは走るための体作り&ケアです。

 ◇ ◇ ◇

 どんなに運動が苦手な人でも、ウォーキングとジョグをコツコツ続けるうちに、自然と体力も走る力もついてくる……と、前回、お話しました。「さらに、走るときに全身の筋肉をうまく使えるようになると、美しいボディラインになれますよ」と、ランニングコーチの木下裕美子さん。というのも、本来、使うべき筋肉を使うことで、背中や脚が引き締まり、ヒップアップが叶うそう。

「大事なのは走るためのカラダ作り。ちょっとした体幹トレーニングを続けることで、スタイルアップはもちろん、体の使い方がうまくなり、楽に走れるようになります。

また、ランで着地する際、足にかかる衝撃は体重の約3倍と言われています。体幹を使えるようになるとかかる負担を軽減でき、ケガの予防にもつながります」

 筋トレは3種目。ウォーキングやランをしない日に、週3日程度、継続してみて。

体幹トレ① 呼吸でインナーマッスルを鍛えて理想的な姿勢を作る

 あお向けになり、両腕を上に伸ばす。両脚は膝を90度に曲げて上げ、すねと床を平行にする。息を吸って腰を反らせ、吐きながら腰を床に近づけていく。腰と床のすき間を埋めてキープ。15秒、自然な呼吸を続ける。これを3セット。

この状態でキープ【写真:松橋晶子】
この状態でキープ【写真:松橋晶子】

体幹トレ② お尻と背中の筋肉を目覚めさせ、楽に走れるカラダに

 あお向けになり、両腕は体に添って伸ばし手のひらを床に。両膝を立てて、両足・両膝は腰幅に開く。息を吐きながら足裏で床を押してゆっくりお尻を上げて、胸から膝が一直線に。息を吸いながらゆっくり床に下す。上げ下げを10回繰り返す。

①→②の動作を繰り返す【写真:松橋晶子】
①→②の動作を繰り返す【写真:松橋晶子】

体幹トレ③ お腹のくびれ筋を鍛え、左右にぶれないフォームを実現!

 体の右側を下にして寝て、両脚は揃えて膝を曲げる。右肘を床につき、肘と膝で体を支える。体を一直線に保ち15秒キープ。逆側も同様に左右各2セット。できるようになったら、上側の腕を天井に伸ばしてキープ。さらにできる人は上側の脚も伸ばしてキープ。

この状態でキープ【写真:松橋晶子】
この状態でキープ【写真:松橋晶子】
応用編①【写真:松橋晶子】
応用編①【写真:松橋晶子】
応用編②【写真:松橋晶子】
応用編②【写真:松橋晶子】

 次に、歩く前、走る前のストレッチ。ここでは、普段、使われずに眠っていた筋肉に刺激を与えます。

「ストレッチによって“今から走るから、ここの筋肉を使って走ってね”という信号を送ります。すると、筋肉が反応するので、ウォーキングやジョギング時の動きがスムーズに」

 また肩回りと胸を開くストレッチは、仕事や家事の合間に行うと、猫背や前かがみの姿勢を正すのにも効果的!

ストレッチ① 肩周りをほぐして腕振りをスムーズに

 両手を肩に置く。肘を「前→上→横」にしっかり向けながら前回し・後回しを各5回。

肩回りのほぐし方【写真:松橋晶子】
肩回りのほぐし方【写真:松橋晶子】

ストレッチ② 猫背を正して胸を開き、呼吸を楽にする

 ①両腕を体の前で斜め下に伸ばし、手の甲を合わせる。②息を吸いながら手のひらを返しつつ両腕を左右に広げ、胸を大きく開く。息を吐きながら①に戻る。5回繰り返す。

呼吸と合わせて①→②を繰り返す【写真:松橋晶子】
呼吸と合わせて①→②を繰り返す【写真:松橋晶子】

ストレッチ③ 硬くなった股関節を伸ばして脚運びをスムーズに

 左の足を大きく後ろに引いて腰をしっかり落とし、左腕を頭上に伸ばしてゆっくり3呼吸。手足を逆にして同様に行う。股関節の柔軟性がアップしたら、さらに深く体を沈め、肘下を地面につけてキープ。

この状態でゆっくりと呼吸【写真:松橋晶子】
この状態でゆっくりと呼吸【写真:松橋晶子】
この状態でキープ【写真:松橋晶子】
この状態でキープ【写真:松橋晶子】

目標は5kmラン 日々の小さな体の変化に目を向けて

 走り終わった後は、お尻や太もも、アキレス腱をじっくり伸ばすこと。気になる部分があればマッサージもしてみましょう。ほか、ゆっくりと入浴をしたり、しっかり睡眠をとったりと、頑張った後はちゃんと体を労わってあげることも大切。

「体がしんどいと感じると、せっかく始めたラン習慣も続きません。疲れを引きずらないためにも、走った後のケアは大切です。

 それから、走る時間以外も、自分の体と向き合い、日々のちょっとした変化に目を向けてみて。例えば、息が上がらなくなった、ストレッチが楽にできるようになった、通勤時に階段の上り下りが楽になった……などなど。自分が成長していることが実感でき、やる気スイッチが入ますよ!」

NG
猫背で頭が前に出た姿勢で走ると、呼吸が浅くなり、首や肩も痛くなりやすい。また、全身の筋肉もうまく使えず、疲れやすい。また、体幹が弱い人は、腰が落ち、ひざが曲がった姿勢でペタペタ走りがち。すると疲れやすいうえ、足首やひざ、腰も痛めやすい。

【初心者ランニングQ&A~実践編~】

Q.外に出るモチベーションが上がらないときは?

A.走る以外の目的を作ってみましょう。例えば数km先にあるお気に入りや気になっていたカフェやパン屋に走って行こう、など、ちょっとした楽しみやご褒美で外に出る動機付けをしてみて。また、友達と約束をして、気持ちのよい公園などを一緒に走るのもおすすめです。

Q.どのぐらい練習すれば、フルマラソンを走れるようになれる?

A.ダイエット目的でゼロの状態から走り始めて、1年後、フルマラソンに出場したという方は珍しくありません。「フルマラソンにチャレンジしたい!」と思ったら、ゆっくりペースでよいので、まずは練習で20km走れるようになることを目標にしましょう。また、大会の1か月前までにハーフマラソンのレースに出ておくと、大会の雰囲気や今の走力も分かりやすく、フルマラソンに挑戦しやすいです。

教えてくれたのは……

【写真:松橋晶子】
【写真:松橋晶子】

■木下 裕美子 / Yumiko Kinoshita

ランニンクコーチ、コンディショニングコーチ。小学4年生から陸上を始める。県立和歌山商高校時代、中距離、駅伝でインターハイ、全国高校駅伝、国民体育大会等に出場。高校卒業後は実業団のシスメックス陸上部に入団。2000年に退団後はマラソンランナーとして活躍する。2022年に長男を出産。10か月後にはフルマラソンの大会に復帰した。現在、ランニングコーチとして、ランニング初心者から市民ランナーへの指導を行う。主な成績は2015年東京マラソン10位(日本人3位)、2017年大阪マラソン優勝。 https://www.instagram.com/_yumiko_kinoshita_/

(W-ANS ACADEMY編集部)

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