「INTERVIEW / COLUMN」記事
デリケートゾーンをゴシゴシ洗うのはNG! タンポンを外し忘れる人も… 生理用品の大事なコト、婦人科の先生に聞きました
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2024.01.28
月経

生理中も清潔に、快適に! 健康スポーツ医・吉丸真澄先生インタビュー
生理がくるたびに必ず使う「生理用品」。毎日のことだし、使い方や選び方によっては、「ズレ」や「モレ」、「におい」などが気になることも……。そこで、婦人科の先生に運動部の学生に多い生理や生理用品の悩み、そして安全と清潔感を保つために大事な生理用品の使い方について、産婦人科専門医で健康スポーツ医の吉丸真澄先生に聞きました!
◇ ◇ ◇
――クリニックに相談に来る運動部の学生には、どんな生理の悩みを抱えている人が多いですか?
「運動部の学生たちに多い相談は、重い生理痛、減量による無月経、そして生理と試合が重ならないようにしたい、という内容です。加えて『モレ』が気になるので、『生理の出血量を減らしたい』『生理の回数を減らしたい』という相談もあります。
出血量を減らしたい理由は、部活中にトイレに行きにくいという相談が目立ちますが、競技によっては、生理用品を交換することが面倒という声もあります。例えば剣道部などはトイレでの袴の扱いが大変なので、『ナプキンを何度も交換するのが面倒くさい』という感じです。
回数を減らしたいという相談は、競技性やウエアの形状から水泳や新体操の学生からも多い。『モレ』が気になるので、そのリスクをなるべく少なくしたい、という気持ちからです」
――生理用品を頻繁に交換しにくい場合、「モレ」を防ぐには、どんな生理用品を使ったらよいでしょうか?
「ユニホームにナプキンのラインがひびかない場合は、夜用のナプキンをつけます。ひびいてしまう方は薄型のナプキン、あるいはタンポンと、吸水型のショーツを併用することをおすすめします」
――学生のなかには、経血量が少ない日に長時間、同じ生理用品を装着したままで過ごしてしまう、という声があります。これにより、どんなトラブルが起こりますか?
「まれに1日以上、タンポンを入れたままで過ごしてしまった、という相談があります。長い時間、汚れた生理用品をつけたままでいると、膣内やデリケートゾーンで菌が繁殖し、独特のにおいがしてきます。菌が繁殖するとかぶれなどの炎症を起こすので、場合によっては消毒後、薬による治療が必要になります。
過去には、『タンポンを入れていたことを忘れていた』と数日間、装着したまま過ごし、悪臭によって気づいたという患者さんもいました。重症化することは滅多にありませんが、炎症が子宮や骨盤内に広がる恐れはゼロではありませんので注意が必要です」
デリケートゾーンを洗いすぎるとNGなのはなんで?
――生理用品を使用するうえでの注意点を教えてください。
「まず、生理用品を使う際、安全性や清潔感を保つためにも、商品の説明書をよく読むこと。そしてやはり、できるだけ商品に推奨されている使用時間内で『まめに取り換える』ことが大切です。
運動習慣のある女性に多い生理用品の悩みに『モレ』や『蒸れ』がありますが、こまめに取り換えることは、これらの悩みを解決する一つの方法でもあります。
また、生理中は生理用ショーツを着用すること。生理用ショーツは通気性のよい素材が使われているものが多く、ナプキンもズレにくい仕様になっているので『モレ』や『蒸れ』の心配を軽減します」
――基本的なことが大事なんですね!
「そうですね。また、生理中やかぶれを起こしているときは、デリケートゾーンを『洗いすぎない』ことも大切です。
デリケートゾーンはとても繊細です。肌を過剰に刺激しないよう、経血の汚れはぬるめのお湯で優しく洗い流しましょう。石鹸やボディソープを使って洗うと、特にかぶれを起こしているときは余計にひどくなる恐れがあります。
産婦人科医や調剤薬局で販売している、デリケートゾーン専用の洗浄剤や肌ケア製品を利用してもよいと思います。また、肌が弱い方は、綿100%の生理用品を使ってみてください」
――生理中、生理用品からわかる体の異常などはありますか?
「生理用品をみれば、経血量の多い・少ないがチェックできます。以下のチェックリストに当てはまる方は、何らかの婦人科系のトラブルを抱えているかもしれません。一度、婦人科医に相談されることをおすすめします」
生理用品からわかる体の異常チェックポイント6つ
生理時のチェックポイント
□1時間おきにナプキンを取り換えないと経血がモレる
□タンポンとナプキンを併用しても経血がモレてしまう
□経血がレバーのような塊になって出る
□就寝中、夜用のナプキンを使用してもシーツが汚れるほどの経血量がある
□ナプキンにつく経血量が非常に少ない(例:多い日でもナプキンを丸一日取り替えなくても済む程度の経血量である、など)
□経血が1日、2日で終わってしまう
――最後に、生理のことで悩んでいても、病院やクリニックに行くのが怖いと感じている学生の方にメッセージをお願いします!
「私がいつも思うのは『ちょっとした悩み』でも、相談に来てほしいということです。
例えば生理痛があっても『自分の痛みは生理痛のひどい人に比べたら大したことはない気がする』と、遠慮して来ない人がとても多いんですね。でも、同じ強さの痛みでも、人によって感じ方は異なりますし、『痛み』は体のSOSです。我慢することで、隠れた病気が悪化する恐れがあります。
『こんな小さなことで受診していいのかな?』と自分で決めつけず、気になることがあるときは、近くの婦人科医に相談してくださいね」
教えてくれたのは…

■吉丸 真澄 / Masumi Yoshimaru
医療法人社団 真久会 吉丸女性ヘルスケアクリニック院長。産婦人科専門医、女性ヘルスケア専門医、健康スポーツ医。東京医療センター、東京歯科大学市川総合病院を経て、2010年、千葉県市川市に開院。女性アスリート外来を開設し、運動部の学生から大人の女性まで、スポーツに取り組む女性の様々な健康問題に寄り添う。
(W-ANS ACADEMY編集部)
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