「INTERVIEW / COLUMN」記事
実は「風邪をひきやすい」アスリート 寒さ&乾燥が襲う冬に「免疫力」を高める3つのポイントとは
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2024.12.27

特集「冷えと免疫力」第1回、松生香里准教授が「免疫」について解説
コンディショニングのカギを握る『免疫』。ところが、寒く、乾燥した冬場は、免疫の働きが低下しやすく、風邪をひいたり体調を崩したりしやすくなります。そこで今回は『免疫』について特集。第1回は、免疫の仕組みから元気をキープする方法について、川崎医療福祉大の松生香里准教授に伺いました!
◇ ◇ ◇
冬になると見聞きする言葉といえば「免疫」。そもそも、免疫とは何でしょう?
「免疫とは、体を外敵から守る働きのこと。体の中にいる『免疫担当細胞』が、体内に侵入してきたウイルスや細菌を認識し、これらを攻撃したり排除したりして、様々な病気から体を守ってくれるシステムを指します。免疫の働きが弱まると、風邪をひくなど、コンディションの悪化にもつながります」(松生香里准教授)
免疫担当細胞は、口から大腸まで体を貫く「管」のあちこちに存在しています。この免疫担当細胞は、全身のリンパ管や粘膜などに貯蔵されており、血液の流れに乗ってグルグルと体内を循環し、侵入してきたウイルスや細菌がいないかパトロールしてくれる存在。ところが、冬場は外気の低下や乾燥が影響し、免疫の働きが低下しやすいそうです。
免疫系の働きを元気に保つポイントは、「口腔内(口や喉)の温度と湿度のコントロール」と「腹部の保温」。ともに、日々のちょっとした心がけで、免疫機能は維持できるそう!
「外気に直接的に触れる口や鼻は、ウイルスや細菌のいわば侵入口。ですから、まずはそこの潤いを保ち、冷やさないこと(保湿・保温)がとても大切です。冬場の屋外の移動中は、必ずマスクを着用し、冷たく乾燥した外気をブロックする。それだけで口腔内の粘膜免疫系の働きも維持でき、結果的にウイルスなどから体を守ってくれます。
また、運動中だけでなく、日常の暖房等で乾燥した室内で過ごす際には、冬場でもこまめな水分補給(暖かい飲料)が効果的です。もし、体調を崩してしまった時は、お腹を温めることも効果的。それによって、弱まった免疫系の働きが元気を取り戻すきっかけになります」
腸の中に「美しいお花畑」を作ろう

そして「腸活」。全身の70%の免疫細胞が存在する腸は『免疫の司令塔』と呼ばれるほど。そのため、腸の環境をいかに良い状態にするかがとても重要とか。
「特に小腸は、全身の免疫系の維持や心身のストレス応答にも貢献しています。また、腸の中に住みついている『腸内細菌』の働きは大切です。腸内細菌は、顕微鏡で見た時に、まるでお花畑のように見えたことから『腸内フローラ』と呼ばれています。
免疫機能を保つには、このお花畑がスカスカにならないよう、美しいお花畑を作ることが重要なポイント。これらの腸内細菌が存在するからこそ、腸管の免疫系も効率的に働くことができています」
人間の腸内には数千種類もの菌が住んでおり、大きく分けて、いわゆる「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」など、3種類に分かれるそう。そして、この3種類がバランス良く存在し、お互いに協力し合って力を発揮すると、腸の環境も良い状態に!
「ところが、心身にかかるストレスや食生活の乱れなどが続くと、例えば、善玉菌が少なくなるなど、バランスを崩しやすい状態に陥ることがあります。それを避けるためには、日頃から善玉菌に関わる食物や善玉菌のエサになる食事を摂るよう、心がけることが大切です」
プロ・アマ問わず、スポーツ選手は激しい運動と強いメンタルが求められるため、心身ともにストレスが大きい。それだけに免疫系の働きが低下しやすく、実は風邪をひきやすい状態になることが多い、と松生准教授。
「高強度の運動や心のストレスが続くと、腸内環境が変化(腸内細菌の数や種類が変化)したりすることが報告されています。ウイルスや細菌などの外敵は、腸管の隙間や毛細血管から血中に入り込んで全身を巡り、悪影響を及ぼすことがあります。逆に言うと、腸内を良い環境に保てば、口や喉、鼻からウイルスや細菌が侵入しても、そこで免疫機能が上手に作用して対応することができるといえます。
食事内容の改善によって腸内環境が変わるまでには、多くの研究成果から最低2週間はかかると考えられます。食事内容の改善効果は、薬の摂取ではないので、即効性のある効果は期待できませんが、継続することによって変化していきますので、じっくりと続けてみましょう」
次回はどんな栄養を摂れば良いのかを、深堀っていきましょう!
教えてくれたのは…

■松生 香里 / Kaori Matsuo
川崎医療福祉大学准教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会情報・医・科学サポート部門員。ランニング学会理事。大学や大学院の講義では「運動免疫学」や「環境生理学」を中心として教鞭を取る。主な研究テーマは、「腸内環境データを活用したアスリートのコンディション対策」。特に、陸上競技長距離選手のコンディション悪化予防対策など、現場に還元することを目指し、研究に取り組んでいる。
(W-ANS ACADEMY編集部)
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