「INTERVIEW / COLUMN」記事
普段通り過ごせない生理痛は「病気」 正体は2種類 ガマン強い運動部は痛みを1人で抱えがち
著者:W-ANS ACADEMY編集部
2023.05.14
月経

「コレって大丈夫? 生理前・生理中の痛みと不調
毎月の生理が憂うつな理由の一つが、「生理痛」。その痛みは感じる場所も、痛みの強さも、人によってまったく異なります。実は、勉強やスポーツに集中できない、痛み止めが必要などなど、普段通り過ごせない生理痛は、「病気」だと知っていましたか? 今回、日本体育大学の須永美歌子教授に「生理痛」についてお話を伺いました。
◇ ◇ ◇
生理に関する悩みのなかで、断トツに多いのが生理痛。私が体育大学の女子学生約1700人を対象に実施したアンケートでも「生理痛がある」と回答した割合は、78%にものぼります。
生理痛は「腰が重い」「腹部に膨満感がある」「下腹部が締め付けられるように痛い」というものから、「頭痛」「吐き気」など腹部とは関係ないような症状が出る人もいます。また、痛みや不調の程度も人によって異なり、「意識しなければほとんど気にならない」軽度の人もいれば、「布団から起き上がれない」ほどの強い痛みを感じる人もいます。
もしも生理中は、「勉強や部活動に集中できない」「鎮痛剤を飲まないとツライ」「布団から起き上がれない」など、少しでも普段通りの生活が送れない人は、その痛みを「ガマンすれば大丈夫」と思わないでください。
なぜなら、日常生活に支障をきたす生理痛は「月経困難症」という病気だからです。
月経困難症には「機能性月経困難症」「器質性月経困難症」の2種類あります。

「機能性月経困難症」は、子宮の強い収縮が痛みの主な原因です。こちらは、初潮後、20代前半に多い病気。下腹部の強い痛みが特徴で、生理開始から1、2日目に痛みのピークが訪れます。
生理中は子宮の内側を覆う「子宮内膜」が剥がれ落ち、子宮の収縮によって「経血」として体の外に排出されます。ところが子宮の収縮が強くなりすぎると痛みが発生。特に10代のうちは子宮口が狭くて固いため、経血を押し出す際に、子宮の収縮が強くなる場合があります。
ほか、子宮や卵巣が未成熟である、冷えやストレスが強い、なども、痛みの要因になります。
「機能性月経困難症」は、痛みの期間も短いので、鎮痛薬や漢方薬によって対処します。
よく「毎月、生理痛で痛み止めを飲むと、クセになって効かなくなるのでは?」と学生に聞かれますが、服用しても月に1、2日です。効き目がなくなるほど、長期間ではありません。
むしろ、痛みを我慢して、勉強や競技に支障をきたす方が、心身が受けるダメージは大きい。コンディションの一つの方法なので、楽に過ごせるのであればお薬を使ってみてください。
もう一つの「器質性月経困難症」はどんな症状?
もう一つは「器質性月経困難症」です。こちらは痛みの裏に子宮や卵巣の病気(子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症など)が隠れている、より深刻なケース。20代以上の女性に多く、「以前は軽かった生理痛が突然重くなった」「(生理が始まると)だんだん痛みが強くなる」「鎮痛剤を飲んでも効かない」という場合は、こちらが疑われます。
脅かすつもりはありませんが、我慢できないほどの痛みがある場合、「検査をしたら子宮内膜症だった」というケースは、経験上、少なくありません。さらに子宮内膜症は放置すると悪化。月経時以外にも腰痛や下腹痛、性交痛などさまざまな痛みがあらわれたり、不妊症の原因になったりします。
「生理は病気ではないから……」と、我慢強い運動部の学生は、かなり激しい痛みになるまで、痛みを一人で抱えがちです。
特に中学・高校生は、「大人には言いにくい」という理由で、相談ができない人も少なくないでしょう。監督やチームメートの反応を気にして、「練習を休めないから」と病院に行くことをためらう人もいます。
でも、我慢を続けても症状は改善しません。また、痛みを我慢しながら練習をしても、痛みのためにフォームが崩れたり、しっかり運動ができなかったりで、練習の質が落ちる恐れがあります。
「痛い」「ツライ」と声に出すことは、決して恥ずかしいことではありません。また、痛みを緩和する、しっかり治療することで、良いコンディションを取り戻せます。「生理だから痛くても仕方がない」「私がガマンすればいい」と思わずに、一度、親や部活動の先生、あるいは保健室の先生に相談してみることが大切ですよ。
最後に、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止表国際基準に準じた、2023年度のアンチ・ドーピング使用可能薬リストのリンク先をお知らせします。生理痛はこのリストの1「熱・痛み(鎮痛・解熱・抗炎症薬・片頭痛薬)」が該当します。
競技会を含め、いつでも使用できる薬なので、薬を使用したい場合、チェックしましょう。
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/anti_doping/anti-doping-med-list_2023.pdf
(有効期間 2023年1月1日~12月31日)
(W-ANS ACADEMY編集部)
Sunaga Mikako
須永 美歌子
日本体育大学教授
日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事、日本トレーニング科学会会長。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)。
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