Home

「INTERVIEW / COLUMN」記事一覧

女性のバストは「激しく揺れている」 競技パフォーマンスに影響する可能性も…研究員が語る運動時の衝撃の大きさ

「INTERVIEW / COLUMN」記事

  

女性のバストは「激しく揺れている」 競技パフォーマンスに影響する可能性も…研究員が語る運動時の衝撃の大きさ

著者:W-ANS ACADEMY編集部

2025.08.07

アンダーウェア

特集「スポーツ時のバストケア」前編、バストの構造と揺れ

 スポーツの際、ちょっと気になるバストの揺れ。パフォーマンスへの影響だったり、「どんな風に見えるのかな」と心配になったり……という人は少なくありません。そこでW-ANS ACADEMYでは「バストの揺れ」に着目。バストの構造や「揺れ」の影響、そしてスポーツ時のブラジャーの選び方について特集します!

 ◇ ◇ ◇

 そもそも、女性のバストはどのような構造になっているのでしょうか? 「バストの内部構造は、主に乳腺と脂肪、そしてそれらを支えるクーパーじん帯の3つの組織です」と教えてくれたのは、長年、女性の体の研究を行うワコール人間科学研究開発センターの研究員、山本智子さん。

女性のバストの構造。胸のふくらみは脂肪と乳腺、そしてクーパーじん帯によって形作られている【イラスト:野口佳大】
女性のバストの構造。胸のふくらみは脂肪と乳腺、そしてクーパーじん帯によって形作られている【イラスト:野口佳大】

 ワコール人間科学研究開発センターでは60年以上にわたり、のべ4万5000人以上の女性の体を計測。そのデータによると、女性のバストは成長や加齢とともに、一定のステップを踏みながら、柔らかさや形が変化するそうです。

 例えば、成長期に「胸が張って痛い」「バストトップに違和感がある」と感じるのも、ステップの一つ。

「女性のバストは乳腺が発達してその周りに脂肪がつき、丸みのある胸に成長します。成長に伴い乳腺が発達すると、張りや痛みを感じます。そして大人のバストに成長すると、今度はホルモンバランスの変化などによって、年齢を重ねるとともに柔らかくなっていきます」

 バストの内部は乳腺、脂肪、結合組織でできており、筋肉のように自分の意思で力をギュッと入れて固めることはできません。そのため体を動かすと、どうしても揺れてしまいます。しかもスポーツの最中、私たちのバストは「高速」かつ「かなりの衝撃」を受けながら揺れているそうです。

「例えばランニング時のバストですが、『上下にバウンスするように揺れている』と想像される方は多いかもしれません。ところが私どもの研究によると、実際は半円を描くように揺れています。細かく言うと、上に思い切り振り上げられた後、脇に流れていき、最後は下方に叩きつけられるように揺れています」

バストが小さい人も「スポーツ時の独特の揺れは生じます」

ランニング時の女性の胸の動き。一歩一歩踏み出すたびに複雑な揺れと衝撃により、バストに負荷がかかっている【写真提供:株式会社ワコール】
ランニング時の女性の胸の動き。一歩一歩踏み出すたびに複雑な揺れと衝撃により、バストに負荷がかかっている【写真提供:株式会社ワコール】

 衝撃という意味では、下方に向かって叩きつけられる時、乳房を支えているクーパーじん帯に最も負荷がかかっている、とのこと。そう聞くと、じん帯がダメージを受けるのではと心配に……。

「スポーツ時の動作によりクーパーじん帯に負担がかかる可能性はあります。じん帯は筋肉のように鍛えることができず、伸びてしまったクーパーじん帯は元に戻すことはできません。また、バストが振り回されるように揺れれば、運動中の不快感やスポーツパフォーマンスに影響する可能性も。ですからバストを揺れから守ってあげることが、とても大事なのです」

 揺れの衝撃からバストを守る方法の一つが、スポーツに適したブラジャーを身につけること。日常用のブラジャーではスポーツ時のバストの揺れは抑えきれないと、山本さんは言います。

「日常用のブラジャーとスポーツ用のブラジャーでは、そもそもの役割が異なります。日常用のブラジャーは、日常動作の範囲でバストを下から支えたり、形を整えてキレイに見せたりすることを目的にデザインされています。スポーツ時の激しい揺れや衝撃は考慮されていません。

 衝撃の大小は個々で異なりますが、バストが小さい人もスポーツ時の独特の揺れは生じます。胸の大きさに関わらず、スポーツ用のブラジャーを着けることが大切ですよ」

 後編ではスポーツブラの選び方などを紹介します!

教えてくれたのは……

■山本智子 / Satoko Yamamoto
 ㈱ワコール マーケティング本部 人間科学研究開発センター

入社以来、人間科学研究開発センターに所属し、ボディエイジングや成長期の体に関する研究のほか、ブラジャーやボトムアイテムなどの機能開発に携わる。学生時代はバスケットボール部に所属。「社会人になってからバスケをプレーする機会が少なくなってしまいましたが、今はヨガやランで体を動かしています」。

(W-ANS ACADEMY編集部)

SUPPORTERSサポーター