「INTERVIEW / COLUMN」記事
「練習中にぶっ倒れることも」 猛勉強で早大合格、女子サッカー部員3人が実践した時間活用術
著者:長島 恭子(W-ANS ACADEMY編集部)
2025.05.20
キャリア

特集「勉強と部活動の両立」、早大ア式蹴球部女子座談会・前編
競技と学業の両立は、日々全力でスポーツに取り組む多くの学生アスリートにとって永遠のテーマと言えるもの。部活動後に自宅へ帰り勉強をしようと思っても睡魔に襲われてしまう……という悩みもよく聞こえてきます。一方で、競技でも学業でも好成績を残しているアスリートがいるのも事実です。
早稲田大学ア式蹴球部女子部は1991年の創部以来、全日本大学女子サッカー選手権大会優勝7回、関東大学女子サッカーリーグ優勝7回など、長年にわたって大学女子サッカー界を牽引する存在。そこでプレーする選手たちは、高校時代まで強豪チームでプレーしながら学業にも励み、名門・早稲田の門を叩きました。今回は、そんな文武両道を今も貫く現役部員3人が登場。前編では高校時代のサッカーと勉強の両立について、それぞれが「しんどかった」エピソードを明かしてくれました。(取材・構成=W-ANS ACADEMY編集部・長島 恭子)
【座談会メンバー】
・宗形みなみさん(写真左)
スポーツ科学部4年。ポジションはMF。中学時代はマイナビベガルタ仙台レディースジュニアユースで、高校時代はマイナビ仙台レディースでプレー。昨年よりWEリーグの大宮アルティージャVENTUSの指定強化選手に。「大学で今、いちばん興味を持って学んでいるのはスポーツマネジメント。選手としては海外のプロリーグでプレーするのが目標です」
・川本美羽さん(写真右)
社会科学部3年。ポジションはMF。中学時代は北海道リラ・コンサドーレで、高校時代は帝京長岡高でプレー。「社会科学部は自由に学べるのがいいところ。今は途上国の開発や人権問題など国際関係論に興味を持って学んでいます。将来は人の役に立てる仕事に就きたい」
・望月美希さん(写真中央)
スポーツ科学部2年。ポジションはMF。中学・高校時代はINAC東京でプレー。「元々はスポーツ栄養を学びたくて、スポーツ系の学部を一通り受験。大学ではスポーツビジネスを専攻。プロスポーツチームのマーケティングに興味があります」
◇ ◇ ◇
――本日はよろしくお願いします! 早速ですが、それぞれの学部と、早稲田大学にどのような形で入学されたかを教えてください。
宗形 自分はスポーツ科学部にスポーツ推薦で入りました。
川本 自分は自己推薦です。第一志望はスポーツ科学部でしたが二次試験で落ちてしまい、併願していた社会科学部に入学しました。
望月 自分はスポーツ科学部に一般入試で入りました。
――三者三様ですね! 早大のア式蹴球部女子のスポーツ推薦枠は1学年1人だけと伺っています。キャプテンの宗形さんは中学生の頃から年代別代表にも選ばれてきましたが、なぜ早大への進学を決めたのでしょうか?
宗形 自分は高校卒業後、プロに行くか大学に進学するかすごく迷いました。そんな時、早稲田の練習に参加したのですが、チームの雰囲気と、大学が掲げる「人として」という哲学に感銘を受け、進学を決めました。
私は最終的にはプロサッカー選手となり、海外でプレーするのが目標です。そう考えると、ユースからトップチームに上がるのが一番の近道かもしれませんが、興味あるスポーツに関わる分野を学術的に学べること、セカンドキャリアのことを考え、大学進学を決めました。
勝負は授業中「いかにして先生の話を頭に叩き込むか」

――まさに文武両道の皆さんですが、今までで最も学業と競技の両立が大変だったのはいつですか?
望月 自分は大学受験がめっちゃ大変でした。最初、別の大学の自己推薦を受けたのですが、10月末に不合格とわかって……。一般入試を決めて、本格的に受験勉強を始めたのは11月。共通テストまで2か月半くらいしかなかったんです。
宗形 かなり時間が限られているから、大変だったんじゃない?
望月 はい。だから早稲田は現実的に考えて「受かったらいいな」くらいの位置づけでした。
川本 当時、1日どのくらいの時間、勉強してた?
望月 寝る時以外は、お風呂の時間も移動時間も、常に教科書を見たり、英語を聞いていたりしていたから、時間で言うと……16時間くらい?
宗形 えっ!? それはヤバい!
望月 うん。めっちゃ追い込まれていたから、着替えの時間さえ受験系のYouTubeを観ていた。歴代の総理大臣の名前もYouTubeで知った替え歌で覚えたし(笑)、もう中毒みたいになっていました。
宗形 自分は高校3年間が一番しんどかった。サッカーは地元のクラブチームに、高校は仙台育英高の特別進学コース(以下、特進)に通っていましたが、両立するのに苦労しました。
望月 自分もクラブチームに所属していたけれど、特にテスト期間は大変。部活のように練習時間が短縮されることもないし、だからといって、勉強もサッカーも時間がない言い訳はできないから。
宗形 そうだよね。通っていた特進は土曜日も授業があったんだけど、土曜日はサッカーの練習や試合があったから、毎週、授業が受けられなかった。クラブチームでサッカーを続けることは学校も了承していたので公欠扱いにはなったけれど、授業の進行は止められないでしょ? だから遅れを取らないよう、友だちにノートを借りて、別に時間を作って勉強してた。特に1年生の頃は教科の数もすごく多かったから、テスト前になると練習中にぶっ倒れることもあったし。
川本 えっ!? しんどすぎて?
宗形 うん。でも、普段はめっちゃ睡眠時間を取るし、すごく時間を大事にしたいタイプだから、途中から勉強時間を朝方に変えたの。幸い、特進の校舎には朝6時半から自習室が開放されていたから、平日は毎朝5時半~6時に起きて登校。授業が始まるまでの2時間、ひたすら自習室で勉強してた。放課後もチームの練習に行くギリギリまで自習室で勉強。学校を出たら頭を完全にサッカーに切り替えるようにしていた。

川本 自分も高校は同じく特進クラスで、やっぱり土曜日も授業がありました。でも、通っていた帝京長岡では基本、運動部の生徒は特進クラスには入らないから、土曜日は普通に部活がある。私も部活動を優先していたから、毎週月曜日になると、「知らない範囲に進んでいる!」という感じでした。平日も放課後は21時まで部活があったし、授業の内容はなるべく授業中に覚えるよう心がけていました。
宗形 同じ同じ。授業中、いかにして先生の話を頭に叩き込むかが勝負だったな。
(後編へ続く)

『早稲田サッカー 百年の挑戦』
伊東武彦著/¥2,200+税(徳間書店)
日本サッカーを支える早大ア式蹴球部100年の歴史が一冊に。往年の名選手から現役の学生選手まで、膨大なインタビューで綴る早大ア式蹴球部の物語。1991年、11名でスタートした当時の女子部の話は必読!
(W-ANS ACADEMY編集部・長島 恭子 / Kyoko Nagashima)
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